レガシーのまちづくり(笹谷 秀光)

先日訪問したポルトガルは、大震災から復興したリスボンや美しい大学まちコインブラ、ワインなどのブランド化で栄えるポルトなど「レガシーのまちづくり」が目白押しです。グローバル社会の中でサステナブルな価値観を考えるヒントが満載でした。まもなく3月7日(木)東京お台場で開催される「未来まちづくりフォーラム」では「クールジャパンXインバウンドXレガシー」を意識して実行委員長として盛り上げます。(伊藤園 顧問=笹谷 秀光)

■ポルトガルに学ぶレガシーのまちづくり

リスボンとポルトの中間にある大学都市コインブラは大学の中に世界文化遺産があり、ここには「学生ファド」があります。コインブラ大学は13世紀に創立、ポルトガルの名門大学です。コインブラのファドは男子学生によってのみ歌われます。

ファドというポルトガル伝統の民族音楽であり、2011年に無形文化遺産になっています。ファド歌手がポルトガルギターやビオラ(通常のクラシックギター)の伴奏で歌う民族音楽です。歌われるテーマは郷愁や哀しみで、ポルトガル語で「Saudade(サウダーデ)」といいます。

哀愁漂う首都リスボンのファド・レストランで聞いてみると薄暗いライト照明の元で演奏されていました。確かに独特の哀愁が漂っていました。

コインブラの学生ファドはリスボンのファドとは異なり、陽気な恋の歌が多いのが特徴だといいます。ファドの学生がまとう黒いマント、ポルトガル語ではcapa=カパと呼び、 日本の時代劇に出てくる渡世人さんがまとった「かっぱ」は、これが語源だというから興味深く、日本とのつながりはカステラだけではないようです。(参照)https://www.tabisen.com/tabisen/tabi-concier/fb0129.html

欧州の大学町では、イギリスのオックスフォードやドイツのハイデルベルクが有名ですが、コインブラも素晴らしい世界遺産のまちです。これからのまちづくりには文化や学びは外せないなと改めて感じます。

コインブラ、国旗の向こうに見えるのが名門コインブラ大学で美しい大学まち

■ブランディングのまちポルト

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笹谷 秀光(CSR/SDGsコンサルタント)

東京大学法学部卒。1977年農林省入省。2005年環境省大臣官房審議官、2006年農林水産省大臣官房審議官、2007年関東森林管理局長を経て、2008年退官。同年~2019年4月伊藤園で、取締役、常務執行役員等を歴任。2020年4月より現職。著書『CSR新時代の競争戦略』日本評論社・2013年)、『協創力が稼ぐ時代』(ウィズワークス社・2015年)。『 経営に生かすSDGs講座』(環境新聞社・2018年)、『Q&A SDGs経営』(日本経済新聞出版社・2019年)。 笹谷秀光公式サイトー発信型三方よし 執筆記事一覧 

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