「林ヲ営ム」が示す、これからの林業。

林材ジャーナリスト赤堀楠雄氏の『林ヲ営ム』を読んだ。赤堀氏は、林業・木材産業界の専門新聞社に勤務後、1999年からフリージャーナリストとして森林や林業、木材、木造住宅等をテーマに日本全国で取材を行い、執筆の他、セミナーや講演会の講師としても活躍している。豊富な知識とていねいな取材による提言は多くの支持を得ている。

『林ヲ営ム 木の価値を高める技術と経営』(著者:赤堀楠雄 農山漁村文化協会)

■「業」ではなく「営」
タイトルは「林ヲ営ム」。「営林」を書き下し文風に読んだもの。「営林」というと、現在は森林管理署という味気ない名称に変更されてしまったが、かつて林野庁の下で国有林の管理・経営にあたっていた営林署を思い浮かべる。

さて、赤堀氏のこの著作は今の林業について、様々な考察やていねいに取材した内容をまとめたものだが、林業の「業」ではなく「営」にしたのには訳があるのだろう。「業」とは生活の中心をささえる仕事、くらしの手だての意味。これを「ぎょう」でなく「ごう」と読むと仏教用語で、身・口(く)・意が行う善悪の行為、特に悪業。または前世の悪行の報い、という意味になる。こっちの方が今の林業に合っている?なんて思うのは自分だけか。

一方、「営」にも「仕事をする、事業をする、物事をする」という意味があるが「こしらえる、作りととのえる」という意味もある。著者の赤堀氏が「林ヲ営ム」というタイトルにしたのは、林を仕事にするだけではなく、作りととのえることの重要さを訴えたかったからだと思う。

フリーランスのコピーライター。「緑の雇用担い手対策事業」の広報宣伝活動に携わり、広報誌Midori Pressを編集。全国の林業地を巡り、森で働く人を取材するうちに森林や林業に関心を抱き、2009年よりNPO法人 森のライフスタイル研究所の活動に2018年3月まで参画。森づくりツアーやツリークライミング体験会等の企画運営を担当。森林、林業と都会に住む若者の窓口づくりを行ってきた。TCJベーシッククライマー。

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