論説コラム:難民問題、目からウロコの新アプローチ

原田勝広
オルタナ論説委員
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日本の難民問題というと、正直、またかといささかウンザリという気持ちになる。最新の2018年を見ても申請10,493人に対し難民認定されたのは42人で、認定率はわずか0.4%に過ぎない。国際的にみて、認定率の低さを非難する人たちに対し、法務省は「本当の難民ではなく、大半が経済難民」と反論する。こんな議論が延々と続いている。いつまで、不毛の論戦を続けるつもりなのか。

経済難民が多いのは想像に難くないが、そもそも認定の根拠になっている難民条約は冷戦下の1951年に決められた国際条約で、東欧などの共産主義国から欧米へ逃れてくる政治的迫害者や亡命者を保護するためのものだった。もうモノサシとしては古すぎるのである。

思い出すのは尾崎行雄の三女、故相馬雪香さんの勇気ある行動だ。インドシナ難民があふれた1970年代後半、海外の知り合いから「日本人は難民を受け入れない恥ずべき国だ。日本人の心はコールド(冷たい)」と言われた相馬さんは「冗談じゃない。日本人の心は温かい。国民1人が1円募金してくれれば1億円になる」と一念発起、NGOの難民を助ける会を設立して、4か月で1億円を集め、難民のために寄付したのだ。

日本政府は難民に冷たいかもしれないが、日本人が皆そうではあるまい。海外からの旅行者は激増しているし、折しも労働力不足に対応するための出入国管理法改正による外国人受け入れ制度が4月から始まった。国際的な移動が活発化するなかで、国境の壁が低くなり、日本も外国人を受け入れ、多様性のある価値、文化を受け入れる段階に来ている。難民問題も新たなアプローチをとるべきではないか。

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原田勝広
オルタナ論説委員
日本経済新聞記者・編集委員として活躍し日本新聞協会賞を受賞。明治学院大学教授に就任後の専門はCSR論、NGO・NPO論、社会起業家論。2018年より現職。著書は『CSR優良企業への挑戦』『ボーダレス化するCSR』など多数。

2019年7月19日(金)9:00

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