仏「味覚の一週間」、日本でも開催

【写真】授業を行う三國(右)、ピックの両シェフ(東京・目黒区の小学校で、撮影 齋藤芳弘)

フランスで毎年秋に行われている食育のイベント「味覚の一週間」を日本でも開催すると、同事務局が10月19日に発表した。来秋からの開催を予定しており、小学校での味覚の授業、参加レストランでの若者向け割引などが予定されている。子供たちの味覚を育てることが狙いだ。

フランスは料理と味を大切にする文化を持つが、食生活の乱れが問題になっている。正しい食文化を実際の料理や体験を通じて若者に教える目的で1990年から行われ、現在では政府や企業などが参加する国民的イベントに成長した。

期間中は味に関する多様なイベントが行われる。代表的なものは一流シェフなど料理のプロが小学校に出向き、10歳前後の子供に味を教える「味覚の授業」だ。「しょっぱい」「すっぱい」「にがい」「あまい」の基本的な4つの味の食べ物を食べてもらい、楽しみながら味覚を覚えてもらう。理解を促すため学校の教職員にも啓発活動が行われる。

さらに各レストランがテーマに沿った料理を競作し、若者でも食べられるように学生割引などで提供する「味覚の食卓」、料理教室や農園を訪れての食体験など「味覚のアトリエ」と名付けられた600以上のイベントなどが行われる。日本でもこれら3つの取り組みを軸に、若者に日本の食文化を体験しながら学んでもらう予定だ。

今年10月18日、東京・目黒区の小学校で4年生に南仏の三ツ星レストラン「ラ・メゾン・ピック」のオーナーシェフのアン=ソフィー・ピックさんが、日本のフランス料理界を代表する「オテル・ドゥ・ミクニ」の三國清三シェフと共に「味覚の授業」を行った。

2人のシェフが味の大切さを話した後で、4つの味に分けられたマカロン、クッキーを食べながら味を当てるクイズを行った。当たると歓声が上がり、正解の“ご褒美”としてブリュレ(焼き菓子)をふるまわれると子供らは「おいしい」と喜んだ。2児の母のピックさんは「フランスと子供の喜ぶ姿は同じ。子供のときに食と味覚の大切さを知ってもらいたい」と話した。

三國さんは「食育とは子どもたちの味覚を守ることだ。食は栄養を摂るだけでなく、噛むこと、味を感じ取ることを通じて精神を豊かにする。だから味蕾(みらい・味を感じる器官) が形成される12歳までに味を教えなければならない」と強調した。三國さんは10年にわたって日本で食育の講義を行っており、「食の一週間」に協力して、それを広げたいという。(石井孝明=オルタナ編集部)10月26日

日本事務局ホームページ

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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