前回に引き続き、おなじみ単語のちょっと意外な意味を取り上げます。
1) gag
まず思いつくのはお笑いやジョークの「ギャグ」でしょう。Gagにはほかに「さるぐつわ」の意味があり、転じて「言論統制」「言論の自由を奪う」となります。たとえばgag lawはかん口令。Issue a gag orderといえば「報道禁止命令{ほうどう きんし めいれい}(かん口令{こうれい}、口外禁止命令{こうがい きんし めいれい}、発言禁止命令)を敷く」という意味です。
Kashmiri Journalists Stage Protest Against ‘Media Gag’
ジャーナリスト結集、報道統制に抗議 カシミール (10月3日)
NHS bosses tried to ‘gag’ father of boy whose life was ruined in botched operation
赤ちゃんの将来を奪う手術ミス 病院側が親に口止め図る (9月14日)
NHSは英国のnational health service(国民医療サービス)。
2) sack
もともとは「ジャガイモや穀物などを入れる大きな袋」を指しますが、イギリス英語で「解雇する」の意味で用いられます。(解雇するときに大きな袋を渡すことから。)
Can the Queen sack Boris Johnson if he refuses to quit after MPs pass a no-confidence vote?
女王、ボリス・ジョンソン首相罷免を決断か 不信任案決議可決も辞任拒否なら (10月10日)
Carmaker Renault sacks CEO Bollore
ルノー、ボロレCEOを解任 (10月11日)
get the sack(首にする)give the sack(首になる)という表現も同じくカジュアルな場面で用いられます。
なお、sackには「(都市などを占領して)破壊する、略奪する」意味もあります。世界史の「ローマ略奪」はSack of Romeですね。