7年目を迎えた伊藤忠建材のブナの森づくり

日本初の建材専門商社の伊藤忠建材株式会社は、2013年に長野県下高井郡木島平村と「森林(もり)里親」協定を締結し、カヤの平高原でブナ森づくり活動を続けている。2019年9月には3期目の協定を締結し、7年目の森づくり活動に入っている。

伊藤忠建材社員による2019年7月の森づくり(長野県 木島平村)

「地球樹(ちきゅうぎ)」プロジェクトの一環で森づくり
伊藤忠建材は、1961年に伊藤忠商事の木材部門より独立し生まれた伊藤忠グループの『住まい』にかかわる建材専門商社。同社では、2007年に「地球樹(ちきゅうぎ)」プロジェクトチームを発足させ、環境マネジメントシステムを構築し、PDCAサイクルで事業における環境負荷の低減を進めるとともに、環境配慮型の商品開発や社員による環境配慮活動に取り組んでいる。

具体的には、植林木など循環可能な木材を使った商品の開発を推進し、環境負荷の小さい国内材の活用をめざしている。社内のプロジェクトチームで知恵を出し合い、地球環境を守り、住まいに安心と安全、快適な暮らしを提供できる商品を「地球樹」商品と名付け拡販に努め、現在では地球樹商品は36品目を数えている。カヤの平高原での森づくり活動は、この地球樹プロジェクトの一環として始められた。

社員の手によって森への恩返しをしたいという想いと、森づくりを通じて自分たちが扱っている商材である木材への理解を深めるという目的がある。

伊藤忠建材 地球樹プロジェクト https://www.ick.co.jp/chikyugi/

移植するブナ稚樹は、牧草地の林縁部から掘り採る(長野県 木島平村)

未利用の牧草地をブナの森に還す
木島平村の東部に位置するカヤの平は標高1,500mの高原地帯で一帯にはブナの原生林が広がっている。地元の人に言わせると「白神山地よりうちの方がすごい」という自慢のブナの森だ。

雄大なブナ林は、貴重な動植物の生息地であるとともに農業が盛んな木島平村の重要な水源地となっている。1956年に木島平村はカヤの平高原の国有林52haを借り受け、開墾して夏季に牛を放牧するための牧場をつくった。当時は酪農を村の産業の一つとして育成しようという思いがあった。

しかし、近年になり少子化による牛乳需要の減少や酪農家の高齢化、牛の飼育方法の変化などによりカヤの平高原牧場の利用する農家が減り、未利用の牧草地が増えた。そこで村は未利用牧草地を国に返還しようとしたが、それには牧草地を林地にする必要があった。

フリーランスのコピーライター。「緑の雇用担い手対策事業」の広報宣伝活動に携わり、広報誌Midori Pressを編集。全国の林業地を巡り、森で働く人を取材するうちに森林や林業に関心を抱き、2009年よりNPO法人 森のライフスタイル研究所の活動に2018年3月まで参画。森づくりツアーやツリークライミング体験会等の企画運営を担当。森林、林業と都会に住む若者の窓口づくりを行ってきた。TCJベーシッククライマー。

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キーワード: #CSR

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