世界で年60億羽の雄ヒヨコ処分、生きたまま粉砕も

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■スイス政府、生きたままの裁断を禁止

ベルトコンベアーに載せられグラインダーで処分される雄ヒヨコ(Animal equalityの動画から)

採卵養鶏業のさらに手前の段階として、雄ヒヨコの処分方法が問題視されている。卵を産まない雄ヒヨコは性別鑑定後、そのまま殺処分される。採卵用の鶏(採卵鶏)と、肉用に飼育される鶏(肉用鶏)は品種が異なり、雄ヒヨコを育てても食用には適さないからだ。

動物保護団体Animals now(イスラエル)、L214 (フランス)、Animal equality(本部・米カリフォルニア州)は、雄ヒヨコ処分の実態を告発する動画をそれぞれユーチューブで公開。生まれたばかりの雄ヒヨコがベルトコンベアーに載せられ、生きたままグラインダーにかけられたり、袋に詰め込まれて窒息死したりする様子が記録されている。処分後はほかの動物の飼料などになる。

そうしたなかで、アニマルウェルフェア先進国であるスイスは「雄ヒヨコを生きたまま(シュレッダーなどで)裁断して殺処分すること」を禁じ、二酸化炭素ガスを使用した殺処分を義務付けた。動物保護に関する改正法が2020年1月に施行されている。

ドイツの科学者などは孵化する前の卵の状態で性別鑑定する方法を開発。殺処分を防ぐ方法として期待が高まっているが、実際の運用はまだごく一部に限られている。

日本でも、年間約1億羽の採卵鶏の雌が出荷されており、同じ確率で生まれてくるとすると、雄のヒヨコは年間約1億羽生まれ、処分されていることになる。

認定NPO法人アニマルライツセンター(東京・渋谷)によると、日本でも雄ヒヨコが生きたままゴミ箱に入れられて窒息死したり、外に放置され暑さや寒さで死んだり、コンテナで圧死したりしているという。

同団体は「海外では雄ヒヨコの殺処分という行為を廃止しようとする動きが顕著だが、日本ではこの問題について、議論さえ始まっていない」と指摘する。

欧州をはじめ、世界ではアニマルウェルフェアに関する法制化が進み、代替手段も確立されてきた。EUでは卵一つひとつに、生産地や生産方法などを印字し、消費者はアニマルウェルフェアに配慮された卵かどうかを判断して購入することができる。

この流れはいずれ日本にもやってくる。まずは実態を知り、アニマルウェルフェアに関するポリシーを持ち、公表していくことが企業には求められる。同時に消費者も企業努力を支持する、あるいは支持しないといった明確な意志の表明が必要だ。

◆参考動画
・Animals now(イスラエル)
https://www.youtube.com/watch?v=SIfNhf2TWFA

・L214 (フランス)
https://www.l214.com/enquetes/broyage-poussins/

・Animal equality(本部・米カリフォルニア州)
https://www.youtube.com/watch?v=x2y3vLwrF6s

※本稿は、オルタナ59号(12月17日発売)の特集「アニマルウェルフェア(動物福祉)のリスクと機会」から一部抜粋し、再編集したものです。詳細は本誌をご覧ください

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2020年1月8日(水)7:00

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