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2 NPOが「宅建」を取得

NPO自らが賃貸住宅を仲介するもやいの「住まい結び事業」は、2018年5月の事業開始から2020年2月4日までに計149人からの相談があった(写真提供:自立生活サポートセンター・もやい)

大西: 2018年に、認定NPO法人として日本で初めて宅地建物取引業の免許を取り、「住まい結び」事業をスタートしました。

――なぜ自ら不動産仲介を始めたのですか。

大西:生活保護受給者がひどい物件をつかまされる事例が増えています。例えば東京都の生活保護住宅扶助額の上限は単身で5万3700円です。ユニットバス・6畳1Kくらいの物件は住めるというエリアでも、不動産屋に「ここしかない」と言われて、同額で風呂なし・トイレ共同・3畳に住んでいるといった例です。

「生活保護」や「精神障害」を理由に物件が候補から外されてしまい、内見もさせてもらえない。本人にも知識がなく、どう考えても不利な条件でも分からず契約してしまうという実態が多くあり、それを変えられないかと事業を始めました。

――採算はどうでしょうか。

大西:全然もうかりません…。仲介手数料の上限は法定で家賃1か月分です。5万円の物件を貸しても5万円しか収入がなく、低所得の人は事業コストが悪い仕組みになっています。また生活保護を受給していて75歳以上、精神障害などが重なると家主に次々と断られ、多い時は70件もの物件にあたることもあります。

人件費を考えると大赤字ですが、多様な背景を持つ方々と「住まい」を結ぶために、今は楽しみながら進めています。既存の大手不動産業者が、営利とは別に社会的な価値を考えて、住まい困窮者向けのサービスを始める、そうした「出口」を模索しながら事業を行っています。

今年2月までに計42人の相談者の住まいが実際に仲介に至った。事業開始後1年間のデータでは、初回相談から契約成立までの所要期間は平均48.4日だった(写真提供:自立生活サポートセンター・もやい)

3 理事長も、職員も、時給2000円

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2020年3月30日(月)7:00

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