仏の新型コロナ対策(上):買いだめに走る市民

フランスの新型コロナウイルス対策が加速している。3月13日に100人以上の集会を禁止し、学校を閉鎖、15日以降は、生活に必要不可欠でない施設や商店が閉鎖になり、17日以降、フランス全土で外出禁止になった。市民は買いだめに走っている。 3月18日、感染者は9134人、死者は264人に上っている。(パリ=羽生のり子)

空になったトイレットペーパーの棚(撮影・羽生のり子)

フランス政府が1000人以上の集会を禁止すると言ったのは3月8日だった。新型コロナ対策で出た初めての規制である。3月15日の統一地方選挙を前にして、パリ市長候補者のイダルゴ現市長が支援集会を中止し、対抗馬のダティ候補がギリギリの1000人未満の会場で集会を開催したことが話題になった。

選挙直前の14日、グレタ・トゥーンベリさんを迎えてパリで予定していた気候変動デモも中止になった。この頃まで、大規模な催しが中止になる以外は市民生活にほとんど影響しないように見えた。ほとんどの人が、友人同士の挨拶の頬キスや握手を当たり前に交わしていた。

変わったのは12日からだ。この日、マクロン大統領が16日から幼稚園、小中高大学を閉鎖すると発表し、移動は最小限にするようにと呼びかけた。

13日は、フィリップ首相が「100人以上の集会の禁止」を発表した。12日から1日で感染者が800人も増え18人が死亡していた。感染が最も進んだ東部では50人以上の集会が禁止になった。

13日の日刊紙「リベラシオン」には、イタリア駐在フランス人記者28人がフランスとEU首脳にあてた手紙が載った。イタリアで医療崩壊を目の当たりにした記者たちが、生活態度を変えようとしない本国のフランス人に唖然とし、危険がすぐそばに迫っていることを訴えたのだ。フランスの感染者増加はイタリアの推移を1週間遅れでたどっていた。

大統領の演説にもかかわらず、カフェやレストランに集うフランス人に業を煮やした首相は14日夜、食品店と薬局など生活必需品の店と市役所を除き、その他の店と劇場、映画館、競技場などをその日の0時から閉鎖すると発表した。発表直後、美術館、劇場が次々と「新たな指示があるまで」閉鎖すると発表した。

15日の選挙は稀に見る低投票率だったが無事に終わった。ところが、この天気の良い日に運河のほとりや公園で日光浴をする多くの市民の映像を見た大統領がショックを受けた。16日夜の大統領演説で、「私たちは戦争の真っ只中にいる」と言い、17日の正午以降は、仕事と必需品の買い物以外の外出禁止を宣言した。

■マスクを付ける人々が目立つ

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