コロナ禍がもたらした「プラス」とは?

原田勝広
オルタナ論説委員

◆論説コラム

突然、日本と世界を襲ったコロナ(covid-19)は多くの災禍をもたらした。死者は大変な数に上り、医療機関も悲鳴をあげた。身近では飲食、ホテル、観光関連の企業やお店が客が激減し甚大な被害を受けた。というわけで、コロナの影響はといえば、「マイナス」が当たり前だ。

そう思っていたところ、「いやプラスもあった」という人が25%もいるという調査アンケートが公表され驚いた。

このアンケートは、社会起業家のような社会の未来をつくる人材を育成している特定非営利活動法人ETIC.が実施したもの。「コロナによる困難な状況に直面しながらも、意志を持って切り拓こうとする起業家、リーダーたちが担う役割を再定義し、組織や社会のあり方を進化させることを後押しする」を目的とする活動の一環で、対象は社会課題・地域課題に取り組むリーダー経営者、社会起業家、NPO関係者などで、107件の回答が寄せられた。

さすがに、コロナが事業経営に与えている影響についてでは、当然ながら「大幅なマイナス」が43%で「一部マイナス」と合わせると80%超と圧倒的である。事業存続の危機を訴える声もある。ところが、「課題を解決したい相手、顧客に与える現在・将来のコロナの影響」について聞くと風向きが変わる。「大幅なマイナス」と「一部マイナス」が合わせて50%あるものの、一方で、「プラス」の影響が25%もあるのだ。

具体的にはこうだ。

① 意識の変容――コロナをきっかけに医療事業、介護事業への関心が強まると同時に、地球環境など自然資本に対する消費者意識が高まった。また、新しい働き方、暮らし方のへの試みも芽生えている。
② 新たな価値提供への挑戦――オンライン化など3密を回避した新たな事業活動の展開へのチャレンジ。
③ 行政理解の促進――コロナの影響やオンライン化の面で立ち遅れていた公的な制度の改善、予算の策定が進んだ。

なるほど、社会の意識が変化し、新しい挑戦も始まった。行政支援も遅ればせながら動き出したということらしい。

社会貢献したいという気持ちが強かったり、世の中を変えたいと思っているような人はさすがに感度がいい。コロナで新しい時代の到来を予感しているに違いない。そこは暗い話ばかりではない、明るい未来につながる何かがあるはずだと、可能性の臭いを探っているのだ。

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原田勝広
オルタナ論説委員
日本経済新聞記者・編集委員として活躍。大企業の不正をスクープし、企業の社会的責任の重要性を訴えたことで日本新聞協会賞を受賞。明治学院大学教授に就任後の専門は国連、CSR, ESG・SDGs論。2018年より現職。著書は『CSR優良企業への挑戦』など多数。

2020年9月18日(金)9:00

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