家庭でのCO2削減対策急務でシンポ開催

このエントリーをはてなブックマークに追加

民生(家庭)部門のCO2排出は、日本全体の14%を占めている(出典:日本国温室効果ガスインベントリオフィス、全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイトより)

日本全体のCO2排出量の5分の1近くが家庭からの排出。これをどう抑えるかが喫緊の課題となっている。一般の家庭エネルギー消費の実態から、効果的なエネルギー消費のあり方を考える必要がある。そんな中、「家庭のエネルギーを考え直そう」というシンポジウムが3月4日、東京で開催された。

■「電気」だけでなく「熱」の低炭素化が重要

CO2(二酸化炭素)の削減を通じた「低炭素社会」の実現に向けて、エネルギーをどう使いこなすかが問われている。特に、日本全体のCO2排出量の5分の1近くが家庭から排出されており、家庭部門でのCO2削減が、今後の日本の低炭素化の成否を握る。

エネルギー消費とCO2排出は表裏一体の関係にある。一般家庭の消費エネルギーの実態を見ると、給湯が30%、暖房が22%、厨房が9%(08エネルギー・経済統計要覧)だという。省エネと言えば節電を思い浮かべるが、電気だけでなくお湯や暖房などの「熱分野」での省エネの取り組みも重要だ。

そこで注目されているのが、「コージェネレーション」と呼ばれる分散型発電システムである。通常、電気は大規模発電所で作られ、送電線を通って遠く離れた利用場所に送られる。燃料の持つエネルギー(一次エネルギー)を100とすると、発電時に発生する熱を使用できず、送電ロスもあるため利用率は40%程度となる。

分散型発電システムは、比較的小規模な発電装置が利用場所近くに配置される。そのため、送電ロスが少なく、発電時に発生する熱も給湯や暖房に利用有効できるので、一次エネルギー利用率は約80%にもなる。省エネルギーになり、CO2の大幅削減ができる。

そんな中、都市ガスから水素を取り出し、酸素との化学反応で電気を作る家庭用燃料電池(各社共通のブランド名は「エネファーム」)が、09年の販売開始以来、すでに1万台以上が設置されるなど、好調な売れ行きを見せている。従来型のガス給湯と電力の併用に比べると、CO2の排出量を約4割、削減できるという。

東京財団上席研究員の石川和男氏は、「CO2削減というとなかなかピンとこないが、『もったいない』という観点で考えれば、分散型システムの良さがよくわかる。個人的には、1つのエネルギーに偏ることは危機管理上の問題があるので、エネルギーはバランス良く使うことが重要だと考えている」と述べた。

東京財団上席研究員の石川氏

■自然エネルギーとのベストミックスとは

昨今、太陽光発電などの自然エネルギーが注目されている。政府が太陽光発電の余剰電力買取制度を導入するなど、国をあげて自然エネルギーの導入に力を入れている。

しかし自然エネルギーは天候や設置環境等に左右されることから、エネルギー供給が不安定である。シンポジウムのパネリストの一人、大阪ガスリビング事業部の西尾雄彦氏は太陽光などの自然エネルギーと天然ガスとの併用が現実解であり、CO2排出削減の切り札になり得ると指摘した。

例えば、家庭用燃料電池エネファームと太陽光発電との「ダブル発電」を導入すれば、従来システム(火力発電+従来給湯器)に比べてCO2排出量が、約63%削減可能になるという。エネファームは終日発電する一方、太陽光は日中に発電する。日中は、エネファームで発電した電力を優先して消費し、太陽光で発電した電力を売電するため、経済的にも優れているという。

都市ガスから水素を取り出し、酸素との化学反応で電気を作る家庭用燃料電池「エネファーム」

さらなるCO2削減に向けて、同社では「スマートエネルギーハウス」の開発を進めている。「スマートエネルギーハウス」は、燃料電池、太陽電池、蓄電池を組み合わせ、ICT技術を活用し、エネルギー利用を最適化する住宅だ。2011年2月から、3年間の居住実験を開始しており、CO2排出量差し引きゼロを目指す。

同社は集合住宅の実験もすでに開始している。1994年から大阪市内の実験集合住宅「NEXT21」で様々な取り組みを実施しており、現在の第3フェーズでは、エネルギー融通(居住者同士で電気やお湯などをやりとりする)をすることで、建物全体でのエネルギー消費の最適化を目指す実験をしている。

環境系ウェブメディア「グリーンズ」発行人の鈴木菜央氏は「最近、シェアハウスが流行っているが、エネルギーもシェアする考え方は面白い。受け取るだけの消費者ではなく、エネルギーを自分で作って、周りの家庭に渡せるような仕組みができたら面白い」と話していた。(オルタナ編集部)

2011年3月25日(金)16:01

alternaショップ
ページの先頭に戻る↑