72%が「原発削減が望ましい」~民間調査

「30年後の社会は電力需要を抑制し、安全性への信頼が揺らいだ原子力ではなく、自然エネルギーを中心にした社会であってほしい」。東日本大震災と原発事故を受けて、日本のエネルギーの未来をこのように考える人が多いことが分かった。ジャーナリスト・翻訳家の枝廣淳子さんが主宰する「幸せ経済社会研究所」(東京・世田谷)が、4月13日までに「日本の今後のエネルギーに関する国民の意識調査」で示した。

今回の調査では、短期的な賛否ではなく、長期的な方向性を探った。「『右肩上がりの電力需要をまかなうために、発電量の大きな原子力発電所を建設する』というこれまでの電力政策と異なる未来を国民が期待している姿が示されたのではないでしょうか」と枝廣さんは分析している。アンケートは調査会社マクロミルと協力し20歳~70歳の1045人に対して4月5、6日に実施した。

調査では、今回の震災・東京電力原発事故を受けて「『日本のエネルギー』についてのあなたの考えや意見は変わりましたか」という質問に、全体の4分の3にあたる74%(774人)が「変わった」と回答した。変化の姿を自由記述で尋ねて分類したところ、意見が変わった人の47%(360人)が「原発の安全性に対する信頼が揺らいだ」、24%(187人)が「節電・省エネ意識が高まった」と答えた。

電力について「量」(どのくらい使うのか)と、「質」(何で発電するのか)の2つを尋ねた。「量」では「30年前の日本が使っていた電力の量は現在の約半分だった。30年後の日本が使っている電力の量は現在と比べてどうあるのが望ましいか」という質問に対して、51%が「減っていることが望ましい」、38%が「変わらないことが望ましい」、11%が「増えていることが望ましい」と回答した。

電力の「質」では30年前の日本の電源構成と現在の日本の電源構成の2つのグラフを示した上で、「日本の電源構成は、30年後に現在と比べてどうなっていることが望ましいか」と尋ね、「水力」「天然ガス」「石炭」「石油など」「原子力」「水力以外の自然エネルギー(太陽、風力、地熱など)」の各電源の構成比の増減への期待を聞いた。

30年後については原子力発電で、22%が「ゼロに」、28%が「大きく減少」、22%が「やや減少」と、全体の72%が減らす(ゼロを含む)ことが望ましいと考えている。一方で、自然エネルギーは78%が「大きく増加」、15%が「やや増加」と、全体の93%が増やすことが望ましいと考えている。石油などは66%が減少(ゼロを含む)を望んでいることが分かった。(オルタナ編集委員=石井孝明)4月13日

各電源で30年後、どうなることが望ましいか
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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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