温暖化ガス排出、1990年度を下回る

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日本の温室効果ガスの排出量が、初めて1990年度実績を下回った。環境省が4月26日に発表した2009年度の温室効果ガス排出量の確定値は、京都議定書の基準年となる90年度の12億6100万トンよりも5210万トン(4.1%)少ない12億900万トン(いずれもCO2に換算した数値)を記録。07年にピークを迎えた日本の排出量だが、08年秋のリーマンショックにともなう景気減速の影響により2年連続で減少した形だ。

■産業・家庭部門で大きく削減

CO2排出量の前年度からの減少幅を部門別でみると、排出で最も大きな割合を占める産業部門が3100万トン(-7.3%)、商業やサービス等の部門では1800万トン(-7.8%)、家庭部門が900万トン(-5.5%)となっている。

また、同年度は東京電力柏崎刈羽原発の運転再開などにより原子力発電の設備利用率が5.7%上昇して65.7%となり、1キロワット時のCO2排出量を示す電力排出原単位が改善。このこともCO2削減に貢献した、と環境省は説明する。

CO2排出量の減少は海外でも同様だ。20日の欧州環境庁(EEA)の発表では、09年のEU加盟国のCO2排出量は46億トンで、前年の49億2千万トンから7.2%も少なく、過去最大の下げ幅を記録した。5年連続の減少だが、日本と同様に景気減速が大きく影響する。

世界全体ではどうか。ドイツ再生可能エネルギー研究所(IWR)は昨年8月、全体でのCO2排出量が前の年より1.3%少ない313億トンにとどまり、過去10年間で初めて減少に転じたと発表しているが、その要因を景気減速に加えて、自然エネルギーへの設備投資の増加も影響していると分析している。

■今後はエネルギーシフトの成否がカギ

08、09年度と連続して温室効果ガスが減少した日本だが、この2年間は実質GDPが前年度から減少した年でもある。10年度はGDPが前年度から約4%の増加に転じており、温室効果ガスの減少幅が小さくなるか、もしくは増加に転ずる可能性がある。

環境省資料から引用

そうすると、景気減速のみに依存せずに、いかに温室効果ガス、主要にはCO2を削減するかが今後の課題となる。東日本大震災にともない発生した東京電力福島第一原発事故により、原子力発電は事故時に甚大な被害が発生し、経済的損失も莫大な規模に達することが証明されてしまった。原子力に依拠してCO2を削減することは、今や全く説得力を持たない。

先のIWRの報告では、化石燃料の利用増加を抑制し、世界のCO2排出量を安定させるためには、自然エネルギーへの投資を現在の4倍の5千億ユーロ(55兆円)に拡大すべきだと勧告している。エネルギーシフトの成否がカギだという訳だ。日本もこれに倣うべきだろう。(オルタナ編集部=斉藤円華)2011年4月30日

環境省 報道発表資料

2011年4月30日(土)22:40

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