編集長コラム) アロハ姿の本田技研・伊東社長が打ち出した環境スローガン

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伊東孝紳社長

本田技研工業の伊東孝紳社長が6月20日、東京・青山の本社で記者懇談会を開き、同社の環境政策を説明した。

筆者も出席したが、会場で記者たちを驚かせたのが、伊東社長を始めとしたホンダ幹部らが全員、薄いピンク色のアロハシャツといういでたちだった。

そのアロハシャツの袖口には、「Blue Skies for Our Children(子どもたちに青空を)」というマークが縫い付けられていた。

そのBlue Skies for Our Childrenこそが、ホンダの環境スローガンであり、伊東社長が懇親会の冒頭で真っ先に強調したポイントだ。

同社長によると、「子どもたちに青空を」という言葉が最初に生まれたのは、1970年代だった。当時、マスキー法という厳しい排ガス規制を世界のどの自動車メーカーもクリアできなかったころ、ホンダの技術陣は「では、うちが最初にクリアしよう」と、エンジンの改良に血道を上げた。

「子どもたちに青空を」は、その技術陣の一人が口にした言葉だった。当時、東京でも自動車の排ガスによる光化学スモッグが社会問題になっており、日本の子どもたちのためにも、排ガスによる環境汚染を食い止めたいという思いがあった。

しかし伊東社長は「Blue Skiesは青空という意味だけではありません。世界中の子どもたちを幸せにしたい、という思いを込めたのです」と筆者に直接、説明してくれた。なるほど、だから 「Skies」と複数形になっているのだろう。

この精神は、まさに今、ブラジルで開かれている「リオ+20」と源を同じくしている。リオ+20の最重要テーマは「グリーン経済」であり、それは環境問題や地球温暖化だけではなく、発展途上国の貧困、食糧、教育など、特に子どもたちにかかわる社会課題がメインになっている。

「グリーン」とは、エコロジカルだけではなく、ソーシャル、エシカル(倫理的な)などをも包含した概念なのだ。そして、「ブルー」という色も近ごろではグリーンと同じ意味で使われることが増えてきた。

マイケル・ポーター教授(ハーバードビジネススクール)は、これまでの著作でたびたびホンダのマスキー法への取り組みを取り上げ、「よい環境規制は企業の競争力を高める」と主張してきた。

そのポーター教授は近年、CSV(クリエイティング・シェアード・バリュー)を打ち出している。社会との共通価値を企業が共創し、社会問題を解決していくことで、社会と企業の両方の価値を高めていく--という考え方だ。

ホンダのBlue Skiesも、CSV実践のためのメッセージと見てよい。 グローバル企業なので環境スローガンも英語になったが、誰にも分かりやすい表現だ。そして、その言葉は同社がマスキー法に挑戦していたころに生まれたというストーリーも好感が持てる。

問題は、Blue Skies というスローガンのもと、10年、50年、100年という長期にわたって、社会と共通の価値を高めていけるかだ。その意味で、ホンダには環境だけではなく、グリーンやブルーの本来の意味である「エコロジカル、ソーシャル、エシカル」を極めてほしい。

この日、伊東社長は発表されたばかりの「環境年次レポート2012」を説明し、同社製品の使用時におけるグローバルでのCO2排出量を業界で初めて開示したことを明らかにした。

また、使用済みのハイブリッド車用ニッケル水素バッテリーから抽出したレアアースの再利用を2012年中に開始することも明らかにした。(オルタナ編集長 森 摂)

2012年6月22日(金)1:42

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