記事のポイント
- トヨタと出光がBEV向けの全個体電池の量産へ協業する
- 高容量・高出力を発揮しやすいとされる硫化物系の全固体電池の開発を進める
- 両社はタスクフォースを立ち上げて2027年から28年頃の実用化を目指す
トヨタ自動車と出光興産は12日、BEV向けの全固体電池の量産に向けて協業を発表した。協業を通して、BEV向けに高容量・高出力を発揮しやすい硫化物系の全固体電池の開発を進めていく。両社はタスクフォースを立ち上げて、2027年から28年頃の実用化を目指す。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)
両社は12日、全固体電池の電気伝導を行う固体電解質の量産技術開発や生産性向上、サプライチェーン構築で連携することで合意した。出光興産は2001年、トヨタ自動車は06年から全固体電池の研究開発に取り組んできた。13年からは全固体電池の共同研究を行ってきた。
硫化物系固体電解質の特許出願数は両社で200近くある。
全固体電池のメリットは充電時間の短縮や航続距離の延長、高出力などがあがる。電池も小型になることから、スポーツカーや商用車など多様なニーズに対応することが可能だ。
一方で課題は耐久性だった。劣化してくると電解質の正極と負極が離れ、割れやすかった。今回実用化を目指す電解質は、柔軟性と密着性を持ち、この課題を解決した。今後、両社の技術をかけ合わせて、2027年から2028年にかけての実用化を目指す。
トヨタ自動車の佐藤恒治社長は「実用化したのちに、量の拡大を進めていくことになる」と見通しを示した。
両社は今回の協業を機に、双方の社員数十人から成るタスクフォースを立ち上げる。タスクフォースが中心となって実用化、量産・事業化へ進めていく。