記事のポイント
- 自動車業界が「循環型モビリティ」を追求する風潮が高まってきた
- 製品を長く効率的に使い、エネルギーの地産地消がポイントだ
- BEVに代わる、自動車の新たな価値として注目が集まっている
「お疲れさま」という声がアチコチで聞こえた。とにかく4年ぶりのモーターショーだったので、クルマの未来がどうなるのか、多くの人が興味を示したショーだった。実は今年からは「ジャパンモビリティショー(JMS)」というコンセプトに変え、自動車産業以外の企業が参加しやすいイベントとなった。その結果、約140社以上の企業が参加し、来場者も110万人を超えた。(自動車ジャーナリスト=清水 和夫)
筆者はメディアデイを取材し、トークショーやガイドツアーにも参加した。延べ6日間も足を運んだが、一般日はものすごい人混みであった。
特に、ソニー・ホンダのブースで「AFEELA」というコンセプトカーに多くの人が押し寄せた。ソニーとホンダという世界的なベンチャーDNAを持つ企業のコラボ企画なので、人気沸騰は当然だ。
ホンダはジェットと自動運転レベル4のクルーズ・オリジンを展示したが、バッテリーとモーターで動く船外機も披露したので、文字通り陸海空のモビリティを提案していた。
面白かったのが、スズキだ。同社はインドでバイオガス・CNG車(天然ガス自動車)の事業を進める。というのは、インドでは牛は神に近い存在なので、自由に町中を動きまわることができるのだ。
そのため街は牛糞で散在する。そこでスズキは牛の糞を回収し、メタンガスを収集する。そのまま圧縮天然ガスとして利用すると、なんと温室効果ガスをオフセットできるのだ。
世界はCO2削減に躍起になっているが、実は温室効果はCO2よりもメタンは大きく、このメタン回収は実に効果的だ。さすがに日本では牛が徘徊していないから、この事業は難しいかもしれない。
■エネルギーの地産地消に価値有り