「無法地帯」の船上で人権侵害が克明に

世界中の海で中国漁船による深刻な人権侵害や違法漁業が行われている実態を長期間にわたって追跡、つぶさに記録した特ダネ映像を米国の「アウトロー・オーシャン・プロジェクト」が作製、公開した。このプロジェクトを主催するイアン・アービナ氏は、米ニューヨークタイムズ紙の記者時代の2015年、遠洋漁業での強制労働や奴隷労組が横行する実態に関する記事を執筆し、世界的に注目された人物だ。この報道が中国やタイなどの漁船での人権侵害や違法漁業の問題が世界的に注目されるきっかけの一つをつくったことで知られる。

イアンを中心とするジャーナリストグループは世界各地の海で中国漁船を追いかけ、船員へのインタビューを行い、彼らが撮影したスマホの写真や画像を入手した。場合によっては質問を書いた紙を入れた瓶を漁船に投げ込むという手法まで使った。

4年間にわたる取材をまとめた映像は、多数の船員が詰め込まれた狭く汚い船室の様子や与えられた汚い飲み水、インスタントの麺だけという粗末な食事ななど、各地の海で操業する中国漁船による人権侵害の問題を克明に伝えている。

(この続きは)
■船員の遺体を海に遺棄する場面も
■違法な水産物は日本にも

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井田 徹治(共同通信社編集委員兼論説委員/オルタナ論説委員)

記者(共同通信社)。1959年、東京生まれ。東京 大学文学部卒。現在、共同通信社編集委員兼論説委員。環境と開発、エネルギーな どの問題を長く取材。著書に『ウナギ 地球 環境を語る魚』(岩波新書)など。2020年8月からオルタナ論説委員。

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キーワード: #ビジネスと人権

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