i-pod の原案も、三洋電機の社員が開発して当時の経営陣に提案したが、こともあろうに却下されたそうだ。昨今の国産家電メーカーの不振も、こんなところに原因があるのだろう。
NDS症候群は、「未来のリスク」を過剰に考えた結果、新しいビジネスやイノベーションに踏み出せない構図だ。本当のリスクは、「何もしない現状」にあると考えた方が良い。
オルタナの次号(3月29日発売)の第一特集では、社会を良くしようとする「ソーシャル・パワー」が日本最後の成長戦略になると書いた。
ソーシャル・ビジネスやソーシャル・イノベーション(社会変革)の意識が高い企業ほど、中長期的に見て業績も良くなるはずだという結論だ。
こうしたグリーンでソーシャルな企業にとって、NDS症候群は無縁だろう。イノベーションへの近道は、多少のリスクは覚悟の上での初志貫徹だ。こうした企業が日本でたくさん生まれ、育っていくことを切に願っている。(オルタナ編集長 森 摂)