記事のポイント
- 2024年1月1日に能登半島地震が発生した
- 甚大な被害を受けて、支援団体が寄付の受け付けを開始
- 義援金と支援金は、使い道にどのような違いがあるのか
2024年1月1日に石川県能登半島を震源とするマグニチュード7.6の地震が発生した。甚大な被害を受けて、過去に災害支援の経験を持つ様々な団体が寄付の受け付けを開始した。寄付には「義援金」と「支援金」があるが、私たちの寄付はどのように活用されるのだろうか。(日本非営利組織評価センター=村上佳央)
■Yahoo!ネット募金の寄付額は15億円超
石川県などの被災地では、個人での物資の送付について「いまは控えてほしい」と呼び掛ける。物資の仕分けの必要があり、受け入れが難しいからだ。
「遠くにいても力になりたい」、そんな支援者の思いは寄付という形で表れている。
すでにYahoo!ネット募金の緊急支援では寄付額が15億円を超え、ふるさと納税を通じた寄付は5億円を超えた。東日本大震災の関連寄付は5000億円と推計され、寄付文化が醸成されたことから2011年は「寄付元年」とも呼ばれている。能登半島地震でも多くの寄付が寄せられることだろう。
しかし、「義援金」と「支援金」では、使い道が異なることはあまり知られていない。被災された方が1日でも早く平穏な生活に戻るには、寄付の使い道まで考えることが重要だ。
■速やかな救援活動には「支援金」
被災地での救命・復旧活動などに速やかに役立てられるお金を「支援金」と呼び、支援団体を通して被災者へ届けられる。過去に震災救援の経験がある非営利団体がいち早く活動を始めている。
例えば、認定NPO法人日本レスキュー協会(兵庫県伊丹市)は災害救助犬の育成・派遣を行う。消防署と連携して人命救助に当たるとともに、ペットの避難状況も調査している。
認定NPO法人カタリバ(東京・杉並)は被災地の子どもの居場所と遊び場をつくる。子どもたちの戸惑いや喪失感をケアすることで、大人も安心して生活再建に専念できる。
小回りが効く非営利団体は、行政や特別救助隊など公的支援の届きづらい細かな活動をしている。赤い羽根共同募金(災害ボランティア・NPO活動サポート募金)や日本財団への寄付も、このような非営利団体の活動に活かされる。
寄付する際には、団体のウェブサイトなどから活動状況を調べることをおすすめする。基本的に返金はされず、この震災ですべての寄付金を活用できなかった場合は、今後発生する災害や運営費に使われる。
寄付金を団体の運営費に充てることに疑問の声があがることもある。しかしスタッフに適切な給与を支払い、盤石な事務局体制を整えることはむしろ今後の効率の良い活動支援につながるといえる。
もし寄付金の100%を直接被災者に渡したい場合には「義援金」を選ぶと良い。
■生活再建は「義援金」、自治体の地域復興に「ふるさと納税」
「義援金」とは被災者に分配されるお金のことだ。石川県は1月4日、公式の義援金受け付けを開始した。ホームページで義援金の受付口座を公開するとともに、配分委員会を設けて被災者へ届けることを表明している。
日本赤十字社の義援金も石川県、富山県の被災者に届けられる。
義援金は基本的には被災地での救命・復旧活動には使われず、被災者数などを把握し均等に分配するために被災者に届くまで時間が掛かる特徴がある。
窓口には領収書の発行など業務負担がかかることから、義援金の送金はしばらく落ち着いてからでも良さそうだ。石川県は、2024年12月27日まで義援金を受け付ける予定だ。
このほか、「ふるさと納税」制度を通した寄付がある。被災者に届くものではなく自治体が使い道を決めることができ地域復興に役立てられる。それぞれのふるさと納税サイトで実施されており、災害救援のため返礼品はない。
被災地にいま必要な支援を届けるために、寄付の使い道を調べてみることをおすすめしたい。