シリア難民に銀座のIT企業が業務委託

ムハマドさんからのメッセージ

泥沼化するシリア情勢。国連UNHCR協会によると、2013年4月時点で約140万人の難民が国外に逃れている。シリアから逃れてきた難民の多くは、難民キャンプ以外にも、イスタンブールをはじめ、その他の都市で暮らしている。

たとえシリアで大卒・中流階級として暮らしていたとしても、異国の地ではゼロからのスタートになる。貯金を切り崩し、知人を頼り、肉体労働で身を酷使するなど、何とかして生きていかざるをえない。単身でも困難な生活は、家族連れであれば一層厳しくなる。彼らの存在は世間に広く知られることがなく、雇用、住居、教育などの支援が届きにくい状況だ。

■ 東京からプログラミング作業を委託

「まさか東京の会社で、こうしてオンラインでインターンシップができるなんて思わなかった。トルコに避難してから100社以上に応募したけど、職務経験がないからと断られた。同じ境遇のシリア人にもこのモデルが広がれば嬉しい」。

イスタンブールのアパートの一室で、パソコンに向かって新たにプログラミングを進めながら、モハマドさんは答える。

モハメドさんは、アレッポ大学情報工学部4年生のシリア難民で、現在イスタンブールに逃れて11カ月になる。東京・銀座のIT企業が、プログラミング作業の一部を、ITスキルを持ち英語が話せるモハマドさんに委託している。

このようなシリア難民と東京のIT企業を結びつけた形態が、WorldLink(ワールドリンク)のシリア支援プロジェクトだ。たとえ高学歴で英語が話せ、ITのスキルを持っていたとしても、避難先のトルコでは職務経験、言語、就労許可等の問題で仕事を見つけるのは難しい。

一方、東京のIT企業では作業コスト削減のアウトソースに対するニーズは大きい。この両者を結びつけ、シリア難民への雇用と、東京の企業の作業コスト削減を実現する。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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