「欧州企業と人権(4)苦情処理メカニズム」 ――下田屋毅の欧州CSR最前線(28)

IHRBの調査によると、「人権に関する重要業績評価指標(KPI)は、非常に重要な要素と考えられているが、現時点ではまだまだ改善が必要」としている。そして「企業が本来評価項目に入れなければならない重要なものの代わりに、安易に測定できる定量的なことを優先してしまう可能性があるので、定性的な分析は引き続き必要」と強調する。

IHRBによると、人権のパフォーマンス向上のための「追跡と報告」の具体例は以下のとおり。

1)データベースの活用や、従業員アンケートを通じて人権に関するデータを収集
2)自己評価、ホットラインの報告
3)重要業績評価指標(KPI)を策定し、長期間、業界他社との結果を比較
4)取引先のモニタリングと監査、結果の報告、改善計画を立案、そのパフォーマンスを向上させる能力構築
5)CSR報告書を通じ、人権問題、ジレンマと課題を報告。ケーススタディ、定量的データ、およびプロセスの説明を含む
6)会社に人権侵害の注意を喚起するステークホルダーとの有意義なエンゲージメントの構築(例:苦情処理メカニズム)。そのエンゲージメントがパフォーマンス評価プロセスの一部となること

■ 人権侵害に関するデータをあえて公表

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下田屋 毅(CSRコンサルタント)

欧州と日本のCSR/サステナビリティの架け橋となるべく活動を行っている。サステイナビジョン代表取締役。一般社団法人ASSC(アスク)代表理事。一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会代表理事。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。執筆記事一覧

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