赤十字への安易な寄付でいいのか

むしろ、義援金とは別枠の、会員(日赤では「社員」と呼ぶ)の寄付である「活動資金」(年間約200億円)の中から、医師や看護師らで構成する「医療救護班」の派遣や義援金の事務手続きの費用として20億円近くを拠出したという。

日赤への巨額な寄付に比べて、国内の各NPOへの寄付額は総じて少ない。正確な金額は不明だが、一説には合算しても数百億円程度ではないかといわれる。NPOが緊急支援で活躍国内のNPOは今回の大震災で目覚しい活動を展開した。とりわけ初期の救援段階では、被災者への緊急物資の配布から炊き出しまで大活躍した。

「国際協力NGOセンター(JANIC)」の山口誠史事務局長も「自衛隊や行政の手が回らなかった分をカバーできた」と胸を張る。「奇跡の石巻モデル」と讃えられた宮城県石巻市の復興も、泥かきからがれき撤去までをピースボートをはじめとするNPOたちが支えた。

赤十字を経由した寄付が、最終的に被災者の手に届くのは時間が掛かる。それでも、一人ひとりの被災者に「現金」が届くのを優先するか、あるいはNPOたちの迅速な支援に託すか。寄付する側の判断能力も問われている。※オルタナ27号(2012年1月号)第一特集「寄付の経営学 寄付の心理学」から転載しました。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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