環境NGO 各党の温暖化・エネルギー対策を評価

気候ネットワークが行ったマニフェストの評価分析

国際公約が見直されるなど、地球温暖化対策が大きく後退するなか、環境NGOの気候ネットワークは、マニフェスト(政権公約)をもとに、各政党の温暖化対策に関連した政策を評価分析した。その結果、日本共産党の点数が最も高く、次いでみんなの党と社会民主党が高得点となった。(副編集長=吉田広子)

■ 地球温暖化政策に関する傾向と各党の方向性

気候ネットワークは、各政党が参議院議員選挙に向けて公表したマニフェストを、温暖化対策目標、脱化石燃料の位置付け、省エネ政策や炭素税・排出量取引制度、再生可能エネルギーの拡大、電力システム改革の実行などへの方針をふまえて総合的に判断し、「脱原発と地球温暖化対策の両立」の観点での総合得点を出した。

その結果、日本共産党が最も点数が高く、次いでみんなの党と社会民主党が高得点となった。みんなの党は、前回衆院選時には触れていなかった「温暖化の中期目標25%削減」を明記したことで点数があがった。それに続いて、緑の党、みどりの風、生活の党、日本維新の会、民主党、公明党、新党大地、自由民主党という順となった。

民主党は、中期目標を掲げなかったことから、衆院選時の13点から点数を下げ、9点となった。また最も得点が低かったのは、前回同様、自由民主党となった。

気候ネットワークは、「参議院において自民党議員が過半を占めることになれば、温暖化対策がこれまで以上に大きく後退することがマニフェストからも読み取れる」としている。

気候ネットワークがまとめた主な論点は以下のとおり。

■ 地球温暖化対策と温室効果ガス削減中期目標

気候変動政策では気温上昇を2度未満にとどめるために、先進国に求められている 2020 年に90 年比 25~40%の温室効果ガスの排出削減を国内の目標として、具体的な削減のための政策が導入できるかが課題である。

2009 年に民主党政権で国際公約として中期目標 25%削減を掲げたが、その後、日本政府は京都議定書第二約束期間の削減義務を負わないことや 25%削減の事実上撤回を表明し、気候変動政策が大きく後退している状況にある。

今回、各党のマニフェストに示された地球温暖化対策については、2020 年の中期目標を引き下げず、継続して野心的目標を掲げたのが、みんなの党、日本共産党、社会民主党、緑の党である。

みんなの党は、今回はじめて 1990 年比で 2020 年までに 25%削減する国際公約の達成を目指すとした。日本共産党は 90 年比 25%削減を堅持し、さらに 30%削減も追求するとしている。また社会民主党は、2020 年までに 90 年比 30%削減、2050 年までに 80%削減の目標と基本法の制定を掲げた。さらに、環境政党を掲げる緑の党も 2020 年までに温室効果ガスの 25%削減と国際公約を堅持する立場を示した。

一方、前回は中期目標に関する記載があったが、今回記載がなかったのが、民主党、自由民主党、公明党である。前回は、民主党と公明党は 2020 年の中期目標には触れず、それぞれ 2030 年の目標として 90 年比で概ね2割削減(民主党)、2030 年までに 90 年比で 25~30%削減(公明党)との目標を掲げていた。

自由民主党は、先のマニフェストで 2050 年 05 年比 80%削減を堅持するとしていたが今回はそれについても具体的表記がない。なお、生活の党、みどりの風、日本維新の会、新党大地は、地球温暖化対策の中期目標について言及がなかった。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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