地震から命とくらしを守るために――一般家庭に制震技術を届けたい

写真がMIRAIE。2012年のグッドデザイン賞も受賞

さらに、一般への受け入れを促すため、ハウスビルダーからの要望に応じて、現場での施工指導も実施。施工方法の動画を制作したり、個別説明会を行ったりと、ハウスビルダーや工務店をサポートする体制も充実させているそうだ。では、もうひとつの課題であった「効果の信頼性」という部分はどうなのだろう。

「MIRAIEには、当社が開発した『高減衰ゴム』が組み込まれています。このゴム、実は斜張橋のケーブルの揺れを抑えるために生まれたもので、発売以降、国内の約8割の斜張橋で実際に使われています。大型の橋は、ものすごい力の風にさらされます。その揺れを抑えるゴムが、一般の住宅に持ち込まれているわけなのです。そしてさらに、当社ではその効果をきちんと検証するために、システム単体に揺れを加えてコンピューター上で計算するだけでなく、一棟丸ごと家を建てて、そこにMIRAIEを設置して検証する加振実験を行っています。手間も費用もかかりますが、本物の家を実際に揺らしてみないと、胸を張って効果があるなんて言えないからです」

そして最後、松本さんに企業としての目標、個人としての夢について聞いた。

「私たちの究極の目標は、全ての戸建て住宅に『繰り返し起きる』地震への対策がなされ、建物の倒壊によって大切な財産や命が失われるのを防ぐこと。阪神・淡路大震災や東日本大震災で自社工場が損壊し、多くの被害が出た経験を企業内で受け継ぎ、その結果生まれたこのMIRAIEに、その夢を託しているのです」

次回は、一棟丸ごと家を建てて行われるという、MIRAIEの加振実験現場をレポートする。

関連サイト 住友ゴム工業「MIRAIE」

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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