記事のポイント
- インドネシア大統領選を経て、プラボウォ現国防相が勝利宣言をした
- 気候変動の視点でも、新大統領の今後の政策には注目が集まる
- 「石炭」「パーム油」「ニッケル」など、同国の施策が世界に与える影響は大きい
2月14日に実施されたインドネシアの次期大統領選挙を受け、プラボウォ・スビアント国防相が事実上の勝利宣言をした。新大統領の政策には、気候変動の視点でも世界から注目が集まる。インドネシアは、世界最大の石炭輸出国であるほか、パーム油の生産量でも世界最大だ。さらに、EV電池の製造に不可欠なニッケルの生産量も、世界の5割近くを占める。(オルタナ副編集長・北村佳代子)
2月14日に実施されたインドネシア大統領選では、前回の2019年の大統領選とは異なり、立候補した3組がいずれも公約に気候変動政策を掲げた。
次期大統領に就任する見通しのプラボウォ・スビアント国防相が掲げたのは、インドネシアを再生可能エネルギーとバイオエネルギーの大国へと変貌させ、天然資源を利用してエネルギーの自給自足を達成することだ。
■インドネシアは気候脆弱国
インドネシアは、気候変動のリスクも高い。ジャカルタに代表される都市部は深刻な大気汚染が社会問題だが、地方では、干ばつや不作の脅威に絶えずさらされている。
英バース大学が2021年にインドネシアの全34州に住むZ世代・ミレニアル世代4020人を対象に実施した調査では、回答者の89%が、気候変動による生活への影響に不安を抱いていると回答した。66%が気候変動の影響を直接受けていると答えた。
不安を感じていると回答した人は、ジャカルタ、南スマトラ、北スマトラといった災害の多い州に住んでいる。
米エール大学・気候変動コミュニケーション・センターが2023年にインドネシアの成人3490人を対象に行った調査では、回答者は具体的な環境懸念内容に、水不足(91%)、暴風雨・竜巻(88%)、干ばつ(87%)、森林火災(86%)、水質汚染(85%)、大気汚染(83%)、洪水(83%)、海面上昇(77%)、猛暑(69%)を挙げた。
現ジョコ・ウィドド政権に続き、プラボウォ次期大統領は気候変動にどのように取り組むのか。インドネシアの動向に、世界が注目する。
(この続きは)
■世界最大の石炭輸出国が、「脱石炭」を図れるか
■パーム油の増産が森林破壊を加速させないか
■「ニッケル」を活用した産業育成施策に懸念の声も