3.フィランソロピー的な考えから貧困救済に向けた開発戦略に移行し、貧困層に対し災害対策分野で能力強化をする。企業のリソースを活用しコミュニティ投資戦略、社会企業開発、キャパシティ構築を行うことでよい効果がもたらされる。
4.気候変動で最も影響を受けることになる若い世代に呼びかけ未来に備える。持続可能な開発の概念は未来の世代を強調しているが、実際に若い世代を巻き込んでいないことが多い。若い世代の未来のニーズが何かを見極め、必要なスキルを構築することが必要である。
5.環境難民問題を緩和するための戦略をたてる。難民危機が起きる前に政府や国際機関などと協力し、難民が新たな土地や資源、収入源を確保できるような対策を講じる。
6.コミュニティが気候変動の脅威に対応できるよう、企業は臨機応変に必要な技術供与を検討する。特に水資源を守り保全するための技術は欠かせない。
7.予測不可能な災害で貧困層が受ける損失を地域で補填できるよう、資金を提供しマイクロファイナンスとマイクロインシュアランスの取組みを開発する。
8.未来のキャパシティ構築に向けたキャパシティを今構築する。気候変動にどう適応し、どのようなコミュニティ投資が効果的なのかを我々が充分に理解していない。企業には、気候変動対策における様々な研究に助成することを奨励する。
9.気候変動により、世界の貧困層が最も悪影響を受けるという事実を、企業内、従業員、一般市民に伝え、意識を高める。貧困層や難民予備軍を支援するためにどのような社員ボランティア、技術者ボランティアや寄付金集めができるかを検討する。
10.市民団体、大学、研究機関、シンクタンク、コンサルティング会社と協力し、災害で最も被害を受ける人々を対象に戦略を開発する。気候変動に対処する新たなパートナーシップの一部として、政府や国際機関などにロビー活動を行い、影響力を発揮すべきだ。
筆者プロフィール【リチャード・ウェルフォード】
CSR Asia創設者で経済学博士。20年にわたり CSRや環境管理を研究。香港大学教授を定年退職後、2010年にアジア工科大学(AIT)と共同事業であるアジア初のCSR修士課程を創設。国際ビジネス、環境管理、労働人権、企業の社会責任についての著書多数。
※オルタナ「CSRmonthly vol.8」(2013年5月7日発行)から抜粋
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