記事のポイント
- 現代林業は「伐って植える」のが大原則で、再造林をすることは義務だ
- ところが、多くの主伐地で再造林が行われていないことが分かっている
- そもそも再造林が低調な中で主伐を推進する必要があるのか
林業界では、やにわに再造林が課題として上がってきた。現代林業は「伐って植える」のが大原則だ。主伐(山の木を全部伐ってしまう木材収穫法)を行った跡地に再び造林をすることは、義務でもある。伐採する際に自治体に提出する「伐採届」にも、いつまでに植えるかを明記していないと受け付けられない。(森林ジャーナリスト・田中淳夫)
ところが、多くの主伐地で再造林が行われていないのだ。林野庁も再造林が行われているのは全国で3-4割だと認めている。
伐採届に記したことを守らないのは、行政罰の対象にもなる違反行為だ。主伐を推進する林野庁にとっても都合の悪いことであり、何よりはげ山のまま放置すれば災害が発生する危険性が高まる。林業としても持続的でなくなり、将来の森林資源を失うことになる。
だから再造林の推進が各地で訴えられるようになってきたのだろう。ただ、その前になぜ再造林をすっぽかすか事情を確認しておこう。
まず森林所有者にとって、主伐は木材を売って利益を手にする行為だが、木材価格は下落する一方で利益は薄くなっている。再造林を行えば、その経費負担でさらに利益は削られる。赤字になりかねないのだ。
一般に再造林には、補助金が国や都道府県などから出る。それで経費の7-9割まで賄えるとされる。しかし所有者にとって、残り1割の経費負担をしたくないのが現実だろう。
しかも植えたら、その後、下草刈りや間伐などの育林が必要となり、その経費負担も生じる。
■まず主伐政策の見直しを