Z世代よりエシカルな「α(アルファ)世代」が台頭してきた

記事のポイント


  1. 「将来的には、アルファ(α)世代がエシカル消費を急激に押し上げる」
  2. α世代はZ世代の次の世代で、2010~24年に生まれた若者を指す
  3. 日本最大級のエシカルショップを運営する24歳の起業家が語った

最近、Z世代の次世代として「α(アルファ)」世代が注目されてきた。人気インスタグラム「エシカルな暮らし」を運営するGab(ガブ、東京・渋谷)の山内萌斗社長(24)も、その思いが強い。同社は丸井有楽町店で、数百種類のアイテムを取り揃えた日本最大規模のエシカルショップを運営する。「Z世代」と「α世代」の違いと共通点を聞いた。(聞き手・オルタナ副編集長=池田 真隆)

山内萌斗(やまうち・もえと):
株式会社Gab 代表取締役CEO。2000年生まれ。MAKERS UNIVERSITY 5期生。「ポイ捨てをゼロにする」という想いで、静岡大学在学中に株式会社Gabを創業。現在は、エシカルブランドに特化した商品販売・グロース支援プラットフォーム「エシカルな暮らし」やゲーム感覚ごみ拾いイベント「清走中」などを運営する。2022年には、有楽町マルイに常設店舗「エシカルな暮らしLAB」をオープン。
 

――環境に配慮した商品は価格が高く、若年層は購入に二の足を踏むことが少なくありません。エシカルな商品は若い人に売れると思いますか。

10~20代にとっては、購入しづらい商品が多いと思います。私たちが運営するインスタグラム「エシカルな暮らし」のフォロワーは約7万人いますが、最も多い層は30代の女性です。なぜ彼女たちがエシカルな商品に興味を持ったのか分析しました。

インスタグラム「エシカルな暮らし」では社会課題を1分程度の動画で紹介する

ある程度、経済的に余裕ができたことも要因ですが、大きな傾向としては、ライフステージの変化がありました。身体や環境の変化に合わせて、自身や家族の健康を意識し始め、その結果、オーガニックやマクロビなどに興味を持った人が多かったです。

現状は10~20代よりも、エシカル消費の主役は30代以上ですが、将来的には、アルファ(α)世代がエシカル消費を急激に押し上げると見ています。α世代とは、Z世代の次の世代です。2010年から2024年に生まれた若者を指しますが、最年長でもまだ14歳(中学2年生)です。

8月にはセブン-イレブン・ジャパンとロフトの担当者を招き、複数のエシカルブランドがプレゼンする会を開いた

「Z世代よりも、自分事化できている」

――α世代をどう見ていますか。

多くのZ世代とも接してきましたが、明らかにα世代は違います。学校でSDGsを学び、「探究学習」では社会課題の解決を自ら考えます。

抽象的な表現になりますが、Z世代よりも、社会課題を自分事化できている人が圧倒的に多い印象です。私たちは、ゲーム形式でごみ拾いを行うイベント「清走中」を全国の自治体で開いていますが、参加者の半数以上が小学生です。

ゲーム感覚でごみ拾いを行う「清走中」は小学生に人気だ

例えば、プラスチックストローを拾った小学生が、「これが海に流れるとウミガメの鼻の中に入って、苦しめてしまう」と他の参加者に話していました。

ただ、ごみを拾うのではなく、使い捨てプラスチックがどのような社会課題を生み出しているのか、理解して、拾っていたのです。社会課題を自分事化して、どうにか解決しないといけないという自負も感じました。

私見ですが、Z世代よりも上の世代は、エシカルを掲げても、どこか他人事の雰囲気があります。社会課題について言及すると、周囲から「意識高い系」などと揶揄される風潮もあります。

α世代にはそれがなく、社会課題を解決することが「当たり前」になっています。まだ10年以上は掛かりますが、彼らが大人になったとき、エシカル消費は急拡大すると思います。

私たちは、α世代が起こす潮流も先読みしながら、日本のエシカル市場を開拓していきたいと考えています。

ーーα世代とコミュニケーションを取る上で意識していることはありますか。

α世代は、すでに社会課題に関する知識を持っている人が多いので、ポジティブに声を掛けることは意識しています。「どうしたらこのアイデアをもっと広げられるだろうか」など、上から目線にならず、一緒に考えるようにしています。

一方、Z世代には、社会課題の解決を訴えるのではなく、「おしゃれ」や「楽しさ」を全面に出すようにしています。

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M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #エシカル

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