記事のポイント
- 国連が2027年からポストSDGsに向けた議論を本格化する可能性が高まってきた
- アントニオ・グテーレス事務総長が26年に任期を迎えるのが契機になりそうだ
- 27年に就任する新事務総長がポストSDGsに関する計画を打ち出すこともある
国連が2027年にも「SDGs後継」(ポストSDGs)に向けた議論を本格化する可能性が高まってきた。複数の国連関係者が明らかにした。アントニオ・グテーレス事務総長の任期が2026年までで、2027年の新事務総長が「ポストSDGs」に関する計画を発表するシナリオが有力だ。(オルタナ副編集長=池田 真隆)
SDGsは2015年9月の国連サミットで、193カ国が全会一致で採択した国際目標だ。「誰一人取り残さない」をスローガンに掲げ、貧困や飢餓の撲滅、気候変動など17の目標と169のターゲットを定め、2030年の目標年(ターゲットイヤー)とした。
SDGsの前身は、2000年に採択したMDGs(ミレニアム開発目標)だった。当時は8つのゴールを定めたものの、対象を途上国に限定したこともあって、先進国ではあまり広がらなかった。
一方のSDGsは先進国や途上国を区分せず、全世界的な社会課題を明確にしたため、日本でも企業や自治体に広がり始めた。ジャケットの胸に「SDGsバッジ」を付ける人も増えた。
ただ、2020年以降、全世界に感染拡大した「新型コロナ」で、SDGsのゴール達成が大幅に遅れたこともあり、2030年以降の枠組みについて、「SDGsを10年延長」との観測が英字メディアで流れたこともあった。
■事務総長、「SDGsの80%は達成が困難」と危機感
■国連がSDGsを公表したのは、採択の「3年前」だった
■「気候」「ジェンダー不平等」など深刻化する課題も
■平和やガバナンスなど、ポストSDGsに向け5テーマ