記事のポイント
- 農水省は2024年4月から「クロスコンプライアンス」を試行する
- 環境負荷低減を補助金交付の要件化するものだ
- エネルギーの節減など、チェックシートの提出を義務付ける
農林水産省は2024年4月から、環境負荷低減を補助金交付の要件にする「クロスコンプライアンス」を試行する。事業者に対し、補助金の申請時や報告時に、エネルギーの節減や生物多様性への悪影響の防止といった取り組みに関するチェックシートを提出することを義務付ける。2027年度の本格運用を目指す。(オルタナ副編集長=吉田広子)

持続可能な食料システムの構築を目指す「みどりの食料システム戦略」(みどり戦略)が2021年5月に策定され、それを実現するための法律として、「みどりの食料システム法」が2022年7月に施行された。
みどり戦略は、「農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現」や「有機農業の取組面積を25%(100万ha)に拡大」、「化学農薬の使用量をリスク換算で50%低減」といった目標を掲げる。
こうした環境配慮型の農林漁業を後押しする政策として、農水省は「クロスコンプライアンス」を導入。補助事業や委託事業が、環境に負荷を与えないように、最低限の取り組みを要件化した。
2024年度から、事業者に対し、補助金などの申請時に、環境負荷低減に関するチェックシートの提出を求める。農業事業者、畜産事業者、林業事業者、漁業事業者、食品関連事業者、⺠間事業者・⾃治体など向けの6種類のチェックシートを用意した。
チェックシートの項目は、「適正な施肥」「適正な防除」「エネルギーの節減」「悪臭および害虫の発生防止」「廃棄物の発生抑制、適正な循環的な利用および適正な処分」「生物多様性への悪影響の防止」「環境関係法令の遵守等」――の7つだ。
実際に取り組んだ内容についての報告も、段階的に義務付ける方針だ。事業者の自己採点にとどまらず、環境負荷低減の取り組みを客観的に評価する体制を整え、2027年度の本格運用を目指す。