記事のポイント
- 「ジェンダードイノベーション(GI)」が注目されている
- GIを提唱したのは米スタンフォード大学のロンダ・シービンガー教授だ
- シービンガー教授は「GIすべての人に公平性をもたらすものだ」と語る
これまで見過ごされてきた「性の違い」に着目する研究手法「ジェンダードイノベーション(GI)」が注目されている。2005年にGIを提唱したスタンフォード大学のロンダ・シービンガー教授は、「GIは性差だけの話ではなく、すべての人に公平性をもたらすものだ」と語る。オルタナとの書面取材に答えた。(オルタナ副編集長=吉田 広子)
ロンダ・シービンガー
米スタンフォード大学歴史学科ジョン・L・ハインズ科学史教授。アメリカ芸術科学アカデミー会員。「科学、保健・医学、工学、環境学分野におけるジェンダード・イノベーション」プロジェクト創始者。学技術史におけるジェンダーと交差性研究の先駆者で、代表作に『科学史から消された女性たち:アカデミー下の知と創造性』(工作舎)など。
公平な社会づくりに科学はいかに貢献できるか。私が長年追い求めてきている研究テーマです。
もともと科学史を専門としていますが、女性は取り残された存在でした。その結果、性やジェンダーが考慮されず、女性の身体には合わない車のシートベルトが開発されたり、男性の骨粗しょう症が見逃されたりしてきました。
ジェンダードイノベーションとは、性やジェンダー、後述する交差性の分析を、研究の枠組みなどのデザインに統合することです。
■重要なのは「交差性」を取り入れた分析