コクヨのD&Iオフィス、高さが異なるデスクが働きやすい理由

記事のポイント


  1. コクヨが「D&I」の視点でオフィス空間の改革に取り組む
  2. 当事者との対話を繰り返し、見えていなかった課題を可視化する
  3. あえて高さが異なる机や椅子を配置し、オフィスのあり方を変える

コクヨはこのほど、ダイバーシティ&インクルージョンの視点でオフィス空間を見直すサービスを始めた。これまでは、経営層や一部の社員へのヒアリング結果を踏まえて空間設計をすることが多く、マジョリティーにとって使いやすい空間になっていた。このサービスでは、マイノリティーとの対話を繰り返し、隠れていた課題を見出し、オフィスのあり方を変えていくことを狙う。(オルタナ副編集長・池田真隆)

コクヨの大阪本社1階にあるダイバーシティオフィス「HOWS PARK」には、
円形テーブルを複数合わせたカウンタースペースとパントリーがある

コクヨは4月上旬から、「D&Iオフィス空間構築サービス」を始めた。障がいのある社員らマイノリティーとの対話を軸に、働きやすいオフィス空間を提案する。デスクやホワイトボード、空間設計などハード面だけでなく、社内の意識改革や行動変容を促すコンサルティングサービスも行う。

同社は昨年からインクルーシブデザインに力を入れる。SDGsのスローガンと同様、「誰も置き去りにしないデザイン」を標ぼうし、当事者との対話を繰り返し、製品化を目指す。

そのプロセスは、① 社会のバリアを見つける② 解決方法のアイデアを検討する③ 試作品で検証する④ 具体的な商品やサービスで検証する――の4ステップだ。このアプローチを、「HOWS DESIGN(ハウズデザイン)」と名付けた。

D&Iオフィスを提案するための4ステップ、ハウズデザインを参考にした

これまでに、色覚特性のある人でも識別しやすい色にこだわった「USBメモリ」や上肢障がいのある人など、手を動かしづらい人に配慮した「封筒入れ」などを開発した。

「視認しやすい」シリーズ>USBメモリ スライド式(1個860円)

同社は2024年の新商品のうち、20%以上をハウズデザインで開発した商品にする目標を掲げる。今回、オフィス空間の構築にもこの視点を生かした。

書きやすいホワイトボードの高さは床下から800ミリ
「困っている人はいない」「当事者の声が聞こえない」を疑え
コクヨのオフィスには1997年から「自席」がなかった

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M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #ジェンダー/DE&I

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