記事のポイント
- プライム企業の一部は27年3月期の有報からSSBJ基準の情報開示が義務化へ
- ガバナンス、戦略、リスク管理、指標及び目標の間のコネクティビティが重要
- 開示の前に戦略ありき、企業の価値創造ストーリーが拠り所となる
2023年3月期から有価証券報告書(以下、有報)におけるサステナビリティ情報開示の義務化が始まっています。サステナビリティ情報の記載欄として「サステナビリティに関する考え方及び取組」が新設され、「ガバナンス」 「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」の4つの要素に基づく開示が求められ ています。(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家=遠藤 直見)
■有報でのサステナ情報開示、「基準」の行方は
金融庁の資料によ れば、4つの要素の開示概要は以下のとおりです。
- ガバナンス
サステナビリティ関連のリスク及び機会に対するガバナンス体制(取締役会や任意に設置した委員会等の体制や役割など) - 戦略(各企業が重要性を踏まえて開示を判断)
サステナビリティ関連のリスク及び機会に対処する取組(企業が識別したリスク及び機会の項目とその対応策など) - リスク管理
サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別・評価・管理するために用いるプロセス(リスク及び機会の識別・評価方法や報告プロセスなど) - 指標及び目標(各企業が重要性を踏まえて開示を判断)
サステナビリティ関連のリスク及び機会の実績を評価・管理するために用いる情報(GHG(温室効果ガス)排出量の削減目標と実績値など)
現状、有報でのサステナビリティ情報開示についての具体的な「基準」は確定されていません。
本基準は、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が2023年6月に最終化した S1基準(全般的な開示要求事項)、S2基準(気候関連開示)をベースに、日本のサステナビリティ基準委員会(SSBJ)が2025年3月末までに最終化するSSBJ基準(適用基準、一般基準、気候基準)を取り込むことが想定されています。
SSBJは、3月29日に基準の公開草案を公表済です(コメント提出は7月末まで)。
■開示タイミングは財務情報と同時期に
■開示が先か、「戦略」が先か
■「価値創造ストーリー」がサステナ情報開示の拠り所に
■「開示ありきの開示」ではなく「『戦略』ありきの開示」を