気候変動の深刻さを示す新指標「屋外日数」とは

記事のポイント


  1. マサチューセッツ工科大教授らは、気候変動の新指標「屋外日数」を提唱した
  2. 人間の屋外活動に適した温度を設定して、該当する年間日数を算出する指標だ
  3. 気候変動の影響を、生活者にとって身近な感覚で把握できることを狙った

マサチューセッツ工科大学のエルファティ・エルタヒル教授らによる研究チームは、気候変動の新指標「屋外日数」(Outdoor Days)を提唱した。これは人間の屋外活動に適した温度(例:摂氏10~25度)を設定して、該当する年間日数を算出する指標だ。これにより気候変動の影響を、生活者にとって身近な感覚で把握できることを狙った。(新語ウォッチャー=もり ひろし)

世界各国の過去・将来にわたる屋外日数の動向は、ウェブサイトGlobal Outdoor Daysで計算できる。

例えば日本で摂氏10度~25度を適切な温度に設定した場合、過去30年間(2005年まで)と将来30年間(2100年まで)における屋外日数の差は、気候変動対策の次善シナリオ(SSP1-2.6)で2日増加する。逆に最悪シナリオ(SSP5-8.5)で3日減る見込みだ。

この指標は気候変動における「南北格差」の存在も示唆する。例えばカナダでは最悪シナリオでも屋外日数がむしろ23日増える。

一方、バングラデシュでは次善シナリオでも屋外日数が28日減ってしまう。つまり屋外日数の観点では、暑い地域が「気候変動で割を食う」状況に陥ることがわかる。

morihiroshi

もり ひろし(新語ウォッチャー)

新語ウォッチャー。国語辞典の新項目執筆を中心に活動。代表的な連載に「現代用語の基礎知識」の流行観測欄(2010年版~)など。執筆記事一覧

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キーワード: #脱炭素

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