規模ではなく、「知のスケール力」が社会を動かす

記事のポイント


  1. 社会変革における「スケール」とはどのような意味を指すのか
  2. 筆者は売上高など「規模」ではなく「知によるスケール」であると考える
  3. 社会的インパクトの創出プロセスや手法の検証・分析は可能だ

社会イノベーションとは、「社会問題に対する革新的な解決手法」と一般的に言われている。その定義は多様であるが、一般的には、今までにない技術やプロセス、仕組みなどの革新により社会問題を解決しようとすることを指している。(日本ファンドレイジング協会代表理事=鵜尾 雅隆)

ここでひとつ重要なのは、社会イノベーション自体は結果として規模(スケール)が生まれていなくても評価されることもある、ということである。

通常のビジネスであれば成功したビジネスといわれているものは、基本的に販売額の増加や上場などを通じて資金的・資本的にもスケールすることが一般的であるが、社会問題の解決についてはそう単純ではない。

素晴らしい社会イノベーションでも、ビジネス的に成立しにくく広がらなかったり、政府が予算・制度化しないために受益者数が限定的だったりすることはよくある。

ここで、社会イノベーションにとっての「スケール」ということの持つ本質的な意味とはなんだろうか。筆者は長年社会イノベーションの創出に携わってきて、それは「知によるスケール」にあると考えている。

社会イノベーションは、今までにないアプローチで社会問題の解決策を生み出そうとするプロセスの結果で生まれているので、それが市場価値を持つか否か、政府が採択するか否かにかかわりなく、受益者へのポジティブな社会的インパクトの創出プロセスや手法が検証分析可能であることが多い。

失敗経験も効率性を高める

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鵜尾 雅隆(日本ファンドレイジング協会代表理事)

連載:社会イノベーションとお金の新しい関係 日本ファンドレイジング協会代表理事。国際協力機構、外務省、米国NPOを経て、ファンドレイジング戦略コンサルティング会社ファンドレックス創業。寄付、社会的投資の進む社会を目指して日本ファンドレイジング協会を創設。著書に『ファンドレイジングが社会を変える』など。

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