編集長コラム) 「CSRからCSVへ」に対する警鐘

文書の原則は下記の4点からなっています。
1. CSRは企業のあらゆる事業活動において不可欠です。
2. CSVはCSRの代替とはなりません。
3. CSVはCSRを前提として進められるべきです。
4. CSVが創り出そうとする「社会的価値」の検証と評価が必要です。

詳しくはウェブサイトで同文書をご参照頂ければと思いますが、ここからは、オルタナ編集長としての見解を述べさせて頂きます。

CSRとは、「企業の社会的責任」と訳されていますが、そもそも「CSRをする」とか、「CSRに熱心だ」という言い方は、少し考えてみると日本語としておかしいことに気が付きます。

すべて日本語にすると「社会的責任をする」「社会的責任に熱心だ」となってしまうからです。

本来の意味は、「企業の社会的責任を深く受け止め、それに基づいて責任ある企業行動を取ること」だと思います。

つまり、CSRとは責任そのものを指しているのではなく、その責任に基づいた「企業哲学」や「行動規範」を指しているのです。

一方、CSVは企業による行動そのものです。CSRを起点にして、企業が社会との共通の価値を創造し、社会にも企業にもメリットをもたらそうと言うものです。

実は、この考え方はマイケル・ポーターが初めて提唱した考え方ではありません。ピーター・ドラッカーが著書『マネジメント』で「経済活動はそれ自体が目的ではない。非経済的な目的、すなわち人間的な目的や社会的な目的のための手段である」と指摘した通りです。

しかし、世界の多くの企業がCSVに飛びついたのは、CSR活動や社会貢献はコストだけが掛かり、企業にとって動機が見出しにくかったことが背景にありました。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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