落ち葉で紙を作る 23歳ウクライナ発スタートアップの創業者

記事のポイント


  1. ウクライナ発の新興企業は、木を切らず、都市の落ち葉で紙を作る
  2. 同社が製造する包装用紙製品は、ロレアルやLVMHも採用する
  3. 将来的な日本での事業展開も視野に、すでに大手日本企業とも接触している

ウクライナ発の新興企業リリーフ・ペーパー社は、木を伐採することなく、都市で回収された落ち葉を原料に紙を作る。ロシアによる侵攻後、拠点をパリに移し、欧州連合などから300万ユーロ(約52億円)の資金を調達して、紙の包装材を月300万枚生産する。同社の紙製品は、ロレアル、LVMHなどの大手企業も採用しており、同社は将来的に日本での事業展開も計画する。(オルタナ副編集長・北村佳代子)

リリーフ・ペーパー社のヴァレンティン・フレチカ創業者兼CTO(右)と
アレクサンドル・ソボレンコ創業者兼CEO(左)

木を伐採せず、都市で回収された落ち葉を使って紙を生産するウクライナ発スタートアップが、欧州で順調に顧客層を拡大している。化粧品大手のロレアル、LVMHのほか、サムスン、シュナイダーエレクトリックも同社製品を採用する。

そのスタートアップの名は、リリーフ・ペーパー。葉(リーフ)の前に、「再び・繰り返し」という意味の接頭辞「リ」を冠した社名だ。

リリーフ・ペーパー社は2.5トンの落ち葉で1トンの紙(1トンのパルプ)を生産する。1トンのパルプから2~3万枚の紙袋が生産できるという。同社の生産能力は現在月産300万枚だ。

「私たちは、都市で回収した落ち葉だけを使用する。森林の落ち葉を集めるのは容易でないし、森林には自然の生態系がありそもそも回収する必要はない。都市の落ち葉は、緑の資源として回収し、そこから取れる繊維(セルロース)は紙を作る原料に、リグニンなど落ち葉の他の部分も肥料として都市部の庭や樹木に還元すれば、ウィンウィンだ」

23歳の創業者ヴァレンティン・フレチカCTO(最高技術責任者)は、リリーフ・ペーパー社の取り組みの意義を語る。

木から作られた紙は通常、分解するまでに270日を要するが、リリーフ・ペーパー社の紙はわずか30日で土壌の中で分解する。

同社の試算では、一般的な木から紙を製造するのに比べ、製造工程でのCO2排出量を78%削減するという。また、一般的な紙の製造には含まれる硫黄や塩素といった有害な化学化合物は、一切使用しない。

紙袋や封筒、段ボール箱や段ボール製卵パックまで
さまざまな用途に適した70~300g/m²の紙を販売する

(この続きは)

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■軍事侵攻で頓挫するも、フランスで拡大を図る
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北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

オルタナ副編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部。

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