記事のポイント
- 米セールスフォースはAIとサステナビリティに関する報告書を発表した
- AI開発などで、電力使用量は2026年までに倍増する可能性がある
- だが、専門家の57%は、AIはサステナビリティに貢献すると考えている
米セールスフォースはこのほど、AIとサステナビリティに関する報告書を発表した。AI開発などで、データセンターの電力使用量は2026年までに倍増する可能性があり、気候変動対策が危ぶまれている。しかし、同社の調査によると、サステナビリティの専門家の57%は、それでもAIはサステナビリティの進歩に貢献すると考えていることが分かった。(オルタナ副編集長=吉田広子)
米セールスフォースは、米国や英国などのサステナビリティの専門家約500人に調査を行った。
報告書によると、サステナビリティ専門家のほぼ半数が、サステナビリティプログラムで AI の使用、あるいは実験を開始している。
例えば、専門家の50%は、AIでエネルギー効率の向上を図り、48%は、製品のライフサイクルで最もGHG(温室効果ガス)排出量が多い領域を特定している。47%は、ISO 基準や排出削減規制など環境基準への準拠にAIを活用する。
一方で、AIは開発や利用時に大量のエネルギーを消費する。AI開発などに伴い、データセンターの電力使用量は増加し、マイクロソフトのGHG排出量(2023年)は1710万トンで、2020年から約40%増加した。グーグルの2023年の排出量も、前年から13%、2019年との比較では48%増加した。
サステナビリティの専門家の37%が、AIは組織のサステナビリティの取り組みにネガティブな影響を与えると考える。
しかし、専門家の57%は、AIのメリットとデメリットのバランスを取ることに楽観的で、AIはサステナビリティの進歩に貢献するととらえる。81%が AI のGHG排出量の削減が優先課題だと認識し、取り組みを進める意向だ。