「サステナビリティ・リビング・プラン」というCSVビジョンを打ち出しているユニリーバのポール・ポールマンCEOは「世界中の『その他99%』の人たちに、歪みがはっきり表れています。6秒に1人の割合で子どもが餓死しています」「資本主義は世界に大きな進歩をもたらしましたが、すべてを解決したわけではありません。道義心を持ち、社会貢献を正しくビジネスモデルに組み込める企業は成功すると考えています」と言っています。

ユニリーバは、「サステナブル・リビング・プラン」で、1)2020年までに10 億人以上がより衛生的な習慣を身につけられるよう支援する2)2020年までに5億人以上が安全な飲み水を得られるようにする――などの社会価値の数値目標を掲げています。

さらに、5人の外部専門家からなる「ユニリーバ・サステナビリティ・デベロップメント・グループ」による評価を受けつつ、毎年、サステナビリティ・リビング・プランの「進捗レポート」で各数値目標の達成状況を公表しています。

また、4半期報告の廃止や長期重視の報酬制度導入など、CSVビジョンの実践に向けて、着実に前進しています。

世界のリーダー企業は、株主・利益重視から、社会価値も両立させる方向に変化しています。多くの日本企業も、経営理念では、「どのように社会貢献を行っていくか」をうたっています。

しかし、中長期ビジョンになると、売上・利益などの業績目標が中心になり、一部のCO2排出削減目標などを除き、社会にとってどのような価値を生み出すかを具体的に目標で掲げている企業は、ほとんど見当たりません。

世界の問題解決がビジネスの中心課題となってきています。これは、日本企業にとって、本来のDNA に組み込まれた強みを生かして、さらに発展するチャンスです。やや閉塞感が見られる日本において、人々が社会に役立つ経済活動を通じて、生き生きとした生活を手に入れるチャンスが到来しているのです。

21世紀の社会問題に対応した「売り手よし、買い手よし、世間よし」の新たな「三方よし」。さらには、「働き手よし」も加えて「四方よし」を実践していくことが求められます。

日本企業こそ、社会の問題に関心を持ち、それをビジネスチャンスとして展開するCSVを先導する立場にあると思います。

【みずかみ・たけひこ】東京工業大学・大学院、ハーバード大学ケネディースクール卒業。旧運輸省航空局で、日米航空交渉、航空規制緩和などを担当した後、アーサー・D・リトルを経てクレアンに参画。CSR/サステナビリティのコンサルティングを主業務とする。

(この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」第2号(2012年11月5日発行)から転載しました)

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