記事のポイント
- NGO36団体は人工芝への助成廃止を求め、文科大臣宛要望書を安江伸夫文科大臣政務官に手渡した
- 「人工芝のマイクロプラスチック流出抑制対策はほぼ不可能」とNGOは主張
- PFASを理由に人工芝を禁止する米国の州が増加中
「減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク」(減プラネット)など36団体はこのほど、文部科学大臣宛の要望書を安江伸夫文科大臣政務官に手渡した。NGOは、人工芝はマイクロプラスチックやPFAS汚染、地球温暖化や生物多様性損失などのリスクに関連し、環境にも健康にも問題が多いと主張。スポーツ振興くじの助成金がサッカー場やテニスコート、校庭などの人工芝施設を増やしていると分析している。(オルタナ編集部)
■人工芝はマイクロプラスチックの一大発生源
人工芝から大量のマイクロプラスチックが発生し、海洋流出していることは、環境省も認めている。同省の「令和5年度検討結果 日本の海洋プラスチックごみ流出量の推計」によると、人工芝からの海洋流出量は芝片が年間240トン、ゴムチップは年間最大2700トンだ。この海洋流出量は発生量の一部に過ぎず、土壌などに蓄積する量も多いと考えられている。
ゴムチップとは、サッカー場や野球場などに使われる丈の長い人工芝のすき間に大量に充填する合成ゴムなどで作った1〜3㎜程度の小さい粒だ。クッション性を高めるなどの目的で使われる。EU(欧州連合)では昨年、2031年までにゴムチップを禁止することが決まった。
環境省は2年ほど前から、マイクロプラスチックの流出防止に向けたリーフレットやポスターを作成し、人工芝の施設管理者や利用者に注意を呼びかけている。文部科学省も今年5月、全国の教育委員会などに「人工芝を発生源とするマイクロプラスチックの流出抑制に係る周知協力について(依頼)」を事務連絡した。
しかし、人工芝からのマイクロプラスチック流出は止まる気配がない。要望書を提出した減プラネットメンバーは「⼈⼯芝施設から周辺環境へのマイクロプラスチックの流出抑制はほぼ不可能」と口をそろえる。理由は、非常に細かくなった人工芝はフィルターの目をくぐり抜け雨水と一緒に流れたり、風に飛ばされ大気中にも飛散したりすると考えられるためだ。しかも、流出抑制対策しているはずのサッカー場などの周辺でも、飛び散った芝片やゴムチップをよく見るという。
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■人工芝はPFASなど有害物質の塊
■要望書を提出した36団体