統合レポートの発行に備えて【CSRコミュニケーションのこれから】

凸版藤沼さま
藤沼 将史(凸版印刷株式会社 トッパンアイデアセンター)

凸版印刷で昨年実施したCSRコミュニケーション分析でベンチマークした先進企業50社のうち14社と全体の約3割を占めた「統合レポート」。今回は、存在感を増すこの「統合レポート」について、企業が発行を検討する場合にこの機会をどのようにとらえ、いま何を準備しておくべきなのか、そのポイントについてご紹介したいと思います。

IIRC(国際統合報告委員会)によれば、統合報告とは、企業の将来を見通すことのできる情報がまとめられ、価値の創造・維持について明瞭かつ簡潔に示されたものを指します。定義の委細が正式に決定するのはもう少し先になりますが、企業情報のうち、非財務・財務両方の情報を連関させて「企業価値」を伝えることが大きな軸となっています。

現在、統合レポートの発行を検討している企業はもちろん、まだ検討していない企業も、「企業価値」の伝達や向上という意味においては共通課題となるはずです。将来的な発行の可能性も踏まえた備えとして何をしておくべきなのか、検討課題を3つに絞ってご説明します。

検討すべき3つのこと

1つ目は、「企業価値の再定義」です。統合報告では、企業のビジネスモデルや目指すべき将来像の策定が必要になるため、企業戦略の明確化を図ることが必須となります。経営の視点から、競合他社を凌ぐ自社の強みとは何なのか、社会のニーズに応え貢献できる自社の技術とは何なのか、自社の武器を洗い出し、進むべきベクトルを再定義することが重要です。

この際、例えば、経営層だけでなく営業や研究開発など各部署の現場を巻き込んだ社員レベルでの検討を行っても良いかもしれません。当社がレポート制作で取材をさせて頂く際などは、最も現場に近い社員の方こそ、新鮮な情報と社会課題に対する意識を持っていることに改めて気付かされる場面があります。社内の様々な意見を吸い上げながら、企業が一丸となって経営の方向性についてじっくり検討を進めることが、統合報告に向けた最も肝要な課題となります。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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