記事のポイント
- ダイアローグ・ジャパン・ソサエティは今秋、体験型鑑賞展を開催する
- 編集者の羽塚氏は300以上の福祉施設をめぐり、障がいがある職人の作品を集めた
- 作品と触れ合うことをとおして、福祉施設の職人との出会いを創出する
一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ(東京・港)は9月14日から、体験型鑑賞展「ウェルフェアトリップ 五感のとびらをひらく旅」を都内で開催する。テーマは「障害のある人たちの手仕事と、たわむれる」だ。展示された作品に触ったり、寝転んだり、五感で楽しめるように工夫した。 作品と触れ合うことをとおして、福祉施設の職人との出会いを演出する。(オルタナ編集部=松田大輔)
「福祉施設と社会の接点をつくることで、一般の人たちが知るきっかけになってほしい。たとえば突然奇声を発する人がいて、知らなければ怖いで終わってしまう。でもその人の特性を知っていれば、見方や関わり方が変わってくる」
こう話すのは、展示会の総合プロデューサーを務めるMotherNess Publishingの羽塚順子氏だ。羽塚氏は、300カ所以上の福祉現場を訪ね、2021年に書籍『ウェルフェアトリップ~福祉の場をめぐる小さな旅』(アノニマ・スタジオ)を刊行した。
「単純だが繊細な反復作業に集中する障がいのある人の姿に大きな可能性を感じた」(羽塚氏)という。
体験型鑑賞展「ウェルフェアトリップ 五感のとびらをひらく旅」では、福祉施設をめぐる旅のなかで出会った魅力的な作品を、ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」(東京・竹芝)で展示する。
「対話の森」は、一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティが手がけるミュージアムだ。暗闇や沈黙といった空間をあえてつくり、そこで生まれる非日常的な出会いや対話からの学びを促す。
今回の展示では「体験」を重視する。作品に触ったり、寝転んだりと、五感で楽しめるような仕掛けを用意した。
羽塚氏によると、鑑賞展の見どころは大きく3つある。
1つは、全長15メートル以上におよぶ石見神楽の巨大な大蛇だ。40名以上の職人が手仕事で仕上げた。来場者は大蛇を触ったり、被ったりできるという。
2つ目は、豪華絢爛な錦織衣装だ。島根県立古代出雲歴史博物館から特別に取り寄せた。繊細で絢爛な職人の技が、来場者の目を楽しませる。
3つ目は、透かし和紙の展示だ。著名な和紙作家の森田千晶氏が関わった。透かし和紙の上に寝転がる体験もできる予定だ。
羽塚氏は「福祉施設はあまりに知られていない」と語る。「今回の展示では、無関心をなくしたいという思いが強い。たくさんの人に福祉施設の職人との出会いを楽しんでほしい」。同展は9月14日から10月1日まで開催される。