世界で続く屋外でのプラ焼却、「健康被害が拡大」と英大学

記事のポイント


  1. 英大学の研究者は、世界5万以上の自治体でのプラごみの処理方法を調べた
  2. 21%のプラごみは適切に管理されておらず、屋外焼却などで処分されていた
  3. 大気汚染によって、心臓病や呼吸器系疾患などが拡大する恐れがある

英リーズ大学の研究者はこのほど、機械学習などの手法を用いて、世界5万以上の自治体でのプラスチックごみの処理方法を調べた。その結果、21%のプラごみは適切に管理されておらず、そのうちの約57%が屋外で燃やされていることが分かった。特にインドやインドネシアなどのグローバル・サウスで顕著で、大気汚染によって心臓病や呼吸器系疾患などが拡大する恐れがある。(オルタナ編集部=松田 大輔)

英リーズ大学の研究者たちは、プラごみの処理方法を調べるため、「管理されたプラごみ」と「管理されていないプラごみ」を区別した。

管理されたプラごみとは、リサイクルや埋め立て処分されるものを指す。一方で、自治体のコントロール下になくなったプラスチックを、管理されていないプラごみと定義した。調査の結果、21%ほどが適切に管理されておらず、そのうちの約57%が屋外で焼却されていることがわかった。

特にインドやインドネシア、ナイジェリアなどのグローバル・サウスで管理が行き届いていない傾向が顕著だった。インドでは2020年、およそ580万トンのプラごみが燃やされていた。インドネシアでは約190万トン、ロシアでも約140万トンが屋外で燃やされていた。

世界では約15億人が、適切なゴミ処理ができない地域で暮らす。そのほとんどがグローバル・サウスに集中している。

プラごみの屋外焼却は、深刻な健康被害につながる恐れがある。燃やされた後、空気中にプラスチックの微粒子が散らばり、心臓病や呼吸器系疾患、神経症を引き起こす可能性がある。世界保健機関(WHO)によると、こうした大気汚染による年間の死亡者は700万人にのぼると推計される。

国際的な化学産業の業界団体「国際化学工業協会協議会」(ICCA)のクリス・ヤーン事務局長は声明で、「この研究は、未回収・未管理のプラごみがプラスチック汚染の最大の原因であり、適切な廃棄物管理を優先することがプラスチック汚染を終わらせるために重要であることを強調している」と指摘した。

matsuda daisuke

松田 大輔

中央大学総合政策学部卒業。2021年から米国サンフランシスコで研究資料の営業マネジャーとして勤務。2024年に株式会社オルタナ入社。

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キーワード: #SDGs

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