スイスが鉄道5000キロに太陽光パネル、30万世帯に供給へ

記事のポイント


  1. スイスは2025年春、鉄道レールの間に設置した太陽光発電システムの実証実験を行う
  2. 100メートル区間のレール間にソーラーパネルを設置し、その上を公共鉄道が走る
  3. 同技術は、フランス、スペイン、韓国などでも実証実験に向けた動きがある

訂正:記事初出時には「出力1テラワット」と表記しましたが、正しくは「年間発電量1テラワット時」でした。よって、当初の見出し「原発1基分」を「30万世帯分」に変更しました。

スイス運輸省は10月2日、鉄道のレールの間にソーラーパネルを置いて発電するパイロットプログラムを承認した。まず2025年春から3年間、スイスの鉄道の約100メートル区間に48枚の太陽光パネルを設置する。ゆくゆくは年間1テラ(兆)ワット時(100万キロワット)と、約30万世帯分の電力供給を目指す。フランス、スペイン、韓国などでも同技術のパイロットプログラムの具体化が進みつつある。(オルタナ副編集長=北村佳代子)

鉄道レールの間に太陽光パネルを敷き詰める
(写真提供:サンウェイズ社)

スイスのスタートアップ企業、サンウェイズ社は、線路のレールの間に、着脱可能な太陽光パネルを設置・発電する。

同社の技術は2025年春から3年間、スイス西部のヌーシャテル州、ビュット駅近くでパイロットプログラムを実施する。

■列車の往来や線路の保守点検作業を妨げない

サンウェイズ社の技術には2つの大きな特徴がある。

一つは、レール間の太陽光パネルの着脱に、貨物列車のような機械車両を走らせることだ。機械車両を走らせながら、工場で組み立て済みの1メートル幅のスイス製太陽光パネルを、ピストン方式でレールに取り付ける。

もう一つの特徴は、取り外しができることだ。列車の安全運行のために線路の定期的な保守・管理を行う上で、太陽光パネルが容易に取り外せることは重要なポイントだ。太陽光パネル自体のメンテナンスや交換にも素早く対応できる。

同社の技術は列車の往来や線路の保守点検作業を妨げない。

「これこそまさにイノベーションだ」と、同社共同創業者のバティスト・ダニシェール氏は胸を張る。

スイスの鉄道線路保守管理企業・ショイヒツァー社が特別設計したパネル設置用車両
(写真提供:サンウェイズ社)

■規制当局からの安全性への懸念に挑む
■全長5000キロのスイス鉄道網で年間1テラワット時の発電を見込む
■アメリカ、中国でも協議が進行中
■「日本の鉄道関係者とも興味深いつながりを構築できた」

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北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

オルタナ副編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部。

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