記事のポイント
- 環境NGOがSOMPOに対するエンゲージメントを求める要請書を送付し5社が回答
- 回答した金融機関はネットゼロ達成に向けさらなる働きかけに意欲を示した
- 先住民族の権利尊重についての方針がないことを問題視する金融機関も
「環境・持続社会」研究センターなど国内外の環境NGO5団体は、SOMPOホールディングスの大株主である金融機関50社に気候変動対策や先住民族の権利尊重についてのエンゲージメントを求める要請書を送付し5社から回答があり、金融機関はネットゼロ達成に向けてさらなる働きかけに意欲を示した。また先住民族の権利尊重について方針がないことを問題視する声もあった。(オルタナ編集部=萩原 哲郎)
要請を送付したのは「環境・持続社会」研究センターのほかに、国際環境NGO FoE Japan、メコン・ウォッチ、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、Insure Our Futureの5団体。
要請書のなかでは「パリ協定の1.5度目標に整合する保険引受方針を策定」、「リオ・グランデLNG事業を含む新規化石燃料事業の保険引受を停止」、「FPICを含む先住民族の権利の尊重を方針化」の3点についてのエンゲージメントを求めた。
エンゲージメントとは機関投資家が投資先企業との、企業価値の向上や持続的な成長を促すための建設的な「目的を持った対話」のこと。金融庁が示すスチュワードシップ・コードでも、こうした対話を通じて、「投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべき」だとする。
5団体はいずれの取り組みについても不十分であったり、方針が策定されていないと指摘する。SOMPOの保険引受方針はパリ協定の1.5度目標に整合しておらず、石油・ガスに関する方針についても取り組みは限定的だとする。欧州の大手保険会社では、石油・ガスの保険引受の停止対象を上流から中流(石油・ガスの輸送)、下流(発電)に拡大している。
またSOMPOでは、先住民族の権利に関する国際連合宣言で求められているFPIC(自由意志による、事前の、十分な情報に基づく同意)に関する方針が策定されていない。保険引受を行うリオ・グランデLNG事業の事業者は現地先住民族との協議会を一度も開催していないと指摘する。
5団体はこうした状況を踏まえて、SOMPOとの要請を継続するとともに、今回の要請書に回答しなかった金融機関に対してはエンゲージメントを行うよう要請するという。