記事のポイント
- 国際的な科学機関が日本政府の脱炭素目標ではパリ協定を達成できないと指摘
- 日本は、2030年までに2013年比でGHGを46%削減することを目標に掲げる
- しかし、「パリ協定の達成のためには、同年比で69%の削減が必要」と同機関
気候変動に関する科学機関「Climate Action Tracker(クライメート・アクション・トラッカー、CAT)」は、日本政府の温室効果ガス(GHG)削減目標が、「パリ協定」の達成には不十分だと指摘した。日本政府は、2030年までに2013年比でGHGを「46%」削減することを目標に掲げる。しかしCATは、パリ協定の達成のためには、2030年までに同年比で「69%」の削減が必要だと分析した。(オルタナ編集部=松田大輔)
ドイツなどに拠点を置く国際的な研究機関CATはこのほど、日本を含む主要なGHG排出国・地域の気候変動関連の政策を分析した。
CATは、主要なGHG排出国・地域として、中国、米国、インド、EU、インドネシア、日本、オーストラリアを挙げた。そのうえで、これらの国・地域だけで「2022年の世界のGHG排出量の60%を占めている。彼らは、気候変動対策を推進するために国際的なリーダーシップを発揮する必要がある」と指摘した。
日本政府は、2030年までに2013年比でGHGを「46%」削減することを目標に掲げる。しかしCATは、パリ協定が掲げる「1.5℃目標」に整合するためには、日本は2030年までに同年比でGHGを「69%」削減する必要があると分析した。さらに2035年までの削減目標は、「81%」(同年比)であるべきと指摘した。
気候変動対策の国際枠組みである「パリ協定」では、世界の気温上昇を産業革命前と比べて「1.5℃」以下に抑えることを目標とする。次期NDC(国別の削減目標)の提出締め切りが2025年2月に迫るなか、日本政府は「1.5℃目標」に整合した計画策定を求められる。
国際環境NGO「350.orgジャパン」の伊与田昌慶・キャンペーナーは、「GHG削減目標とエネルギー政策の検討に対して、大きな意味を持つ分析が発表された。日本政府はただちに受け止め、2035年までの野心的な排出削減目標を含むNDCやエネルギー基本計画を策定すべきだ」とコメントした。