記事のポイント
- 政府は11月29日を「ノウフクの日」と定め、農福連携の魅力を発信する
- これにともない日本農福連携協会は12月2日に都内でイベントを開催する
- イベントでは農福連携当事者のトークセッションのほか、展示や試食も行う
政府は今年から11月29日を「ノウフクの日」と定め、農福連携の魅力を発信していく。農林水産業と福祉の連携でプラットフォームとしての役割を担う日本農福連携協会は12月2日に都内でイベントを開催する。イベントでは農福連携当事者のトークセッションのほか、ノウフク商品の展示・試食なども行う。(オルタナ編集部=萩原 哲郎)
農福連携とは、農業の現場で障がい者が就労して活躍することで自信と生きがいを得るとともに、農業経営の発展に寄与する取り組みだ。農林水産省によれば、農福連携に取り組む事業者は2022年度末で6千超を数える。
「ノウフクの日」は、今年6月に政府が「農福連携等推進ビジョン(2024改訂版)」に明記したことで制定された。5月に成立した改正食料・農業・農村基本法には障がい者が農業活動を行うための環境整備を進め、地域農業の振興を図ることを盛り込んでいた。
ビジョンでは「ノウフクの日」制定により、「農福連携等応援コンソーシアム」に参画する団体や企業などが協働して、ノウフク商品の販売や農福連携などのさらなる展開や普及を狙う。コンソーシアムには24年9月時点で573の企業や団体が賛同する。
政府は農福連携が推進されることで「労働力の確保」と「働く場の確保や賃金・工賃の向上」「地域との交流の促進等の生活の質の向上」などに寄与するものと期待する。一方で「知られていない」「踏み出しにくい」「広がっていかない」といったことがこれまで課題とされてきた。
そこでビジョンでは、今回の「ノウフクの日」制定により消費者との接点を増加させるとともに、企業などに農福連携への参画促進や担い手の育成、また障がい者に限らず生活困窮者や引きこもり状態にある人など世代や障がいを超えた多様な人たちが参画できるように環境整備していくことを掲げる。
日本農福連携協会が12月2日に開催するトークセッションでは、実際に農福連携に取り組む事業者が講演やトークセッションに登壇するほか、農福連携で活躍する障がい者の作文や動画の展示、ノウフク商品の展示や試食などを行う。これから農福連携への参画を検討する企業などへの情報提供や魅力発信の機会にする。