記事のポイント
- フィンエアーはこのほど、炭素排出量削減の中期目標を設定し、SBT認定を受けた
- 33年までに原単位あたり34.5%(23年比)削減することを目指す
- サステナ担当役員は「SBT認定はGウォッシュ対策としても意味がある」と話す
フィンランドの航空会社フィンエアーはこのほど、2033年までに温室効果ガス排出量(二酸化炭素換算)を原単位あたり34.5%(23年比)削減するという中期目標を設定した。SAF(持続可能な航空燃料)利用の増加や燃費効率の向上、機材の更新などで排出量を減らし、カーボンオフセットには頼らない計画だ。この中期目標は、国際的イニシアティブ「SBTi(サイエンス・ベースド・ターゲット・イニシアティブ)」から、科学的な根拠に基づく目標だと認定された。(オルタナ副編集長=吉田広子)
フィンエアーは、中間目標を達成するために、EUが定める規定以上の割合でSAFを使用する計画だ。SAFとは、循環型の原料で製造された航空燃料を指し、主に、廃食油や微細藻類、古紙などが原料になる。EUは2025年までにSAF混合率を2%以上にすることを義務付ける。
同社は、SAF利用を拡大することで、中期目標の想定削減量の半分以上をまかなう予定だ。
このほか、燃費効率の向上や機材のリニューアル、使い捨てプラスチックの削減などで排出量を減らす。自社での排出削減に注力し、カーボンオフセットには頼らない考えだ。
この中期目標は、国際的イニシアティブ「SBTi」から、科学的な根拠に基づく目標だと認定された。
フィンエアーのエヴェリーナ・フーッレ・サステナビリティ担当シニアバイスプレジデント(SVP)は、「EUでは、グリーンウォッシュ(見せかけの環境主張)に対する規制はこれからますます厳しくなるだろう。ただ、それは悪いことではない。企業はより良い存在になる必要があり、同じルールがあることで、公平な競争環境が保たれるからだ」と話す。
「企業は正しい行動を取り、透明性のある情報開示に努めなければならない。だからこそ、第三者であるSBTの認定を受けたことに意味がある」(フーッレSVP)
さらに、フィンエアーは長期目標として「2050年までにネットゼロ」を掲げた。国際民間航空機関(ICAO)や国際航空運送協会(IATA)の目標に合わせた形だ。2019年に設定した長期目標では、「2045年までにカーボンニュートラル」を掲げていたものの、新型コロナやロシア領空の飛行禁止などを受け、目標を見直した。
フーッレSVPは、「持続可能な飛行を実現するには、利用者の協力が欠かせない」とし、目的地到着後の公共交通機関の利用や、食事の予約注文、手荷物の軽量化などの協力を呼び掛けた。