世界の農業生産者にとって、気候変動への適応計画の策定が重要になっている。2022年末時点でフェアトレード生産者団体の4分の1が気候変動への適応計画を策定した。(認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長=潮崎 真惟子)
計画に基づき96%の団体が何らかの施策を現場で実行したという。背景として、2022年のフェアトレードコーヒー基準改訂により、気候変動への適応計画策定が基準に追加されたためだ。
コーヒーは特に気候変動の影響を受けやすく、主要品種の生産地が2050年に半減すると言われる。他にもカカオや紅茶、バナナの生産者等も、気温上昇、害虫や病気、干ばつ等への対処の独自計画策定を進める。
計画策定過程で、生産者達が気候変動への意識や知見を向上させ、生産強化の初期対応を迅速に行う効果が出ている。
日本企業の今後の安定した原料調達のためにも、生産農家の気候変動の適応計画策定や早めの打ち手を促すことは重要だ。その際には研修提供や啓発活動、資金・技術へのアクセスが鍵となることも調査で示された。COP29の最大の焦点であった「気候資金」ともまさに重なる。