締め付けない柔らか有機綿インナーで、女性の不調に寄り添う

記事のポイント


  1. 「hinna(ヒンナ)ふわリブ オーガニックコットンシリーズ」は肌触りの柔らかなインナー
  2. ゴムを使わず、締め付けの少ない設計で、女性特有の心身の不調にも応える
  3. 綿花のトレーサビリティを確保し、製造から販売まで環境負荷の軽減に配慮

エル・ローズ(福井県福井市)が企画製造・販売する「hinnaふわリブ オーガニックコットンシリーズ」は、柔らかい肌触りを特徴としたインナーだ。女性が年齢を重ねるにつれて経験する身体の不調や肌ストレスといった健康課題に着目し、ゴムを使わず、締め付けの少ないインナーを開発した。原料の綿花は、産地から編立までトレーサビリティを確保し、環境に配慮した紡績や有機農法を通じて自然への影響を最小限に抑える。同社Eコマース事業部マネージャーの戸枝千絵氏と商品企画デザイナーの中川めぐみ氏に開発の思いを聞いた。(オルタナ副編集長=北村佳代子)

エル・ローズの戸板千絵マネージャー、同商品は「サステナブル★セレクション2024」の三つ星に選出された=2024年10月、都内で 写真:廣瀬真也
エル・ローズの戸枝千絵マネージャー、同商品は「サステナブル★セレクション2024」の三つ星に選出された=2024年10月、都内で 写真:廣瀬真也

※エル・ローズの「hinnaふわリブ オーガニックコットンシリーズ」は、オルタナとサステナ経営協会が共催する「サステナブル★セレクション2024」の三つ星に選ばれました。次回の一つ星エントリーは、2025年1月14日まで受け付け中です。エントリーフォームはこちら
※「サステナブル★セレクション」とは、サステナブル(持続可能)な理念と手法で開発された製品・サービスを選定し推奨する仕組みです。
一つ星(★)は、製品・サービスが、持続可能な社会づくりに貢献していることを表します。
二つ星(★★)は、★に加え、企業・組織がサステナブル経営に取り組んでいることを表します。
三つ星(★★★)は、★★の中から特に大きな社会的インパクトを生み出していることを表します。
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ゴムを使わず、締め付けない心地よさを追求したインナー
「hinna ふわリブ オーガニックコットンシリーズ」

■「エシカル」に「フェムケア」の要素を加える

――「hinnaふわリブ オーガニックコットンシリーズ」の開発経緯を教えてください。

戸枝:当社はインナーウェアなどを製造するメーカーですが、エシカルな商品を集めたセレクトショップ「サンテラボ」も展開してきました。

開発に際しては、この「サンテラボ」が大切にしてきた「エシカル」な商品であるだけでなく、社会課題を解決する製品にしたいと考えていました。そこで着眼したのが女性の健康課題です。

自分自身の経験を振り返っても、インナーウェアに求めるものはライフステージとともに変化してきました。若いころは、ガードルのように体型をサポートする機能を求めたこともありましたが、年齢を重ねるにつれ、快適さの感じ方が変わってきました。身体をきつく締め付けることが、健康にどんな影響を与えるかも気になるようになりました。

女性には、産前産後や更年期の身体の変化だけでなく、生理中のつらい時でも我慢するなどの生理周期による心身の「ゆらぎ」があります。こうした女性特有の「ちょっとつらい」気持ちに寄り添い、リラックスできて心も身体も休まるようなブランドとして、「hinna(ヒンナ)」を立ち上げました。

ブランド名の「hinna」は、「時間をみつける」という意味を持つスウェーデンの言葉から取っています。自然や環境、そして自分と向き合う時間を持つことの大切さを届けたいという想いを込めました。

「hinna」は、40代以上の女性を主たるターゲットに、締め付けないことの心地よさを訴求した幅広い商品を展開しています。このブランドの軸になっている製品が「hinnaふわリブ オーガニックコットンシリーズ」です。

「hinna ふわリブ オーガニックコットン クルーネックインナー」は
お腹までしっかり包み込む

消費者のことも生産者のことも考えた商品開発

――オーガニックコットンは人権や環境面のリスクも高い原料です。開発や商品化にあたりどのような点に留意しましたか。

戸枝:当社の場合、「サンテラボ」を立ち上げた際に、「オーガニックに特化する」、「人にやさしく、環境にやさしい会社を目指す」とエシカルを軸に商品開発を進めてきました。

ですから、締め付けないインナーウェアというコンセプトを立てたときも、オーガニックコットンを採用することは必須と考えていました。またオーガニックコットンを使った製品を開発するならば、生産者の生活まで支援するコットンを使いたいとの思いがありました。

そのような中で、当社のお取引先で、オーガニックコットン100%の糸と原綿を輸入しているパノコトレーディング(東京・中央)さんと知り合います。同社は、生産地のインドとタンザニアで、児童労働や不当な搾取のない健全な有機農業をサポートするプロジェクトに参画されており、私たちもこの取り組みに共感し、共同開発をお願いしました。

中川:「hinnaふわリブ オーガニックコットンシリーズ」のリブ(伸縮性のあるゴム編みのこと)の生地は100%オーガニックコットンです。

締め付けることで着用された人が苦しく感じることのないよう、ゴムを一切使わず、その代わりにアンダーやウェスト部分の生地には、オーガニックコットンのほか5%だけポリウレタンを入れて伸縮性を持たせています。テンションをかけた仕様とすることで、ピッと張った形で着用いただけます。

いろいろな種類の資材を使うと、それぞれにロスが増えてしまうため、そうした無駄をなくすためにも、なるべくオーガニックコットンで仕上げるようにしました。

また、あえて丸編みの生地を選ぶことで、インナーのわきにも縫い目のない商品に仕上げました。表示ラベルが肌に触れないよう、外側につけるなどの工夫も施しています。商品パッケージも、米ぬか成分で作った袋を採用しています。

表示ラベルは肌に触れないよう、あえて外側につける

■締め付けない解放感が、顧客ニーズをとらえる

——お客様からは、どのような評価を得ていますか。

お客様から最も高く評価いただいているのは快適な着用感です。「これからこれ以外の下着はつけられない」とおっしゃってリピート買いしてくださる方も多くいます。そうしたお声は、私たちの励みにもなっています。

また、「サンテラボ」から生まれたエシカル商品ということで、昔からショップのファンでいらした方々にも本商品が届いており、嬉しく思っています。

商品企画だけでなく、ウェブを通じた販促・広報活動も少人数で対応していますので、まだまだ発信不足でお客様とのコミュニケーションを十分にできていない点は今後の課題だと感じています。

加えて、エシカル商品は、原価が高い分、それを価格に反映せざるを得ない点があります。

敏感肌の方も安心してご着用いただけるオーガニックコットン生地に、締め付けない心地よさという「フェムケア」の要素が加わっている点を価値として訴求し、さらに、ゴムを使わず縫い目にもこだわって開発している当社ならではの特長を伝えながら、女性の健康課題に寄り添うブランドとして育てていきたいと思います。

■ファストファッションなどの業界の課題にアプローチしていく

――今後の展望について教えてください。

アパレル業界は、ファストファッション問題などの課題が山積しています。

インナーウェアの製造メーカーとして、オーガニックコットンを採用するだけでなく、例えば裁断くずを減らす企画設計や、環境負荷の少ない染色素材の選定など、業界全体の課題にアプローチしていきたいと考えています。

「hinna」の今後については、40代、50代女性だけでなく、産前産後の女性や、更年期以降のシニア層に対しても、身体の変化や不調に寄り添うブランドとして、広く知っていただけるよう注力したいと考えています。

また年齢を重ねると身体に悩みが出てくるのは男性も同じです。「hinna」とは別ブランドでの展開になるかもしれませんが、「hinna」で開発した尿漏れ対応の吸水布ショーツなど、更年期の男性向けに展開していく取り組みにも、将来、挑戦したい気持ちはあります。

※エル・ローズの「hinnaふわリブ オーガニックコットンシリーズ」は、オルタナとサステナ経営協会が共催する「サステナブル★セレクション2024」の三つ星に選ばれました。次回の一つ星エントリーは、1月14日まで受け付け中です。

・エントリーフォームはこちら⇒ https://www.alterna.co.jp/135966/

・サステナブル★セレクション公式ページは⇒ https://www.alterna.co.jp/sustainable-selection/ 

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

オルタナ副編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部。

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キーワード: #サステナビリティ

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